ブッシュ元米国大統領を小バカにした中国の古紙再生業者の痛烈な広告

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右下に「Helping paper come back more useful.(紙がもっと役立つものに再生されるのを助けます。)」のタグライン。

recyclepaper

痛烈な皮肉。シンプルな広告ですが言いたいことは充分伝わってきますね。

日本人にとっては歴代総理自身が書いたこんな本やあんな本も、今となってはまったく同様のことが言えたりして。。。キャ、言っちゃった(笑)!

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【参考記事】
・Blue Ocean Paper Recycling: Bush[I Believe in Advertising]
http://www.ibelieveinadv.com/2009/09/blue-ocean-paper-recycling-bush/


「広告系自転車部 on Twitter」の創部記念に自転車を使った広告を集めてみました

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先週、ひょんなことから「Twitter」上で自転車好きの広告業界周辺の人たちを集めて自転車部を作りましょうという話になり、9日(水)に総勢7名が参加する第1回Meetupを行なってきました。

ほとんどの人がお互い初対面にも関わらず、そこは小さな広告業界。たどっていくと知り合いの知り合いだったり、昔競合関係の会社に勤めていたり、同じビルで働いていたことがあったりと、意外と近い仲。

でも、おもしろかったのは仕事関係の話がまったくと言っていいほど出なかったこと。「自転車は何乗ってるの?」から始まり、「いつもはどこらへん走ってるの?」「本気で自転車乗るならロードバイク買った方がいいんじゃない?」「今度大会出るんだけど、一緒にどう?」など、お店の人から出て行ってくれと言われるまでノンストップでマシンガン自転車トークが炸裂。

そんなわけで、予想以上に盛り上がり、とても楽しいひとときとなりました。

次回のMeetupはまだ未定ですが、ご興味のある方は次回ぜひご参加ください。

ただし、第1回Meetupで唯一決まった部則として、課題図書『シャカリキ』の全巻読破が入会条件となりますので、その点はどうかご理解をw

なお、今回はそんな「広告系自転車部 on Twitter」の創部記念に、自転車を使った広告を4つほどまとめて紹介したいと思います。

まず1つ目は、リズムゲーム「ギターヒーロー」のバイラルムービーから。

約3分半と少し長めの映像ですが、ついつい最後まで見入ってしまう映像です。

続いては、「Ogilvy & Mather Japan」が制作し、日本で放送されていた「Audi(アウディ)」のテレビCM。

最初、「すごいなぁ。自転車で階段下ってるよ」と思ったら、実は自動車のルーフに自転車がくくり付けられているだけ。「なんだ、自動車か?。。。んっ、自動車っ! 余計すごいじゃん!」ってな感じで、2度びっくりさせられる展開がおもしろいですね。

さらには、世界最大のドキュメンタリーチャンネル「Discovery Channel(ディスカバリーチャンネル)」がサメのドキュメンタリー番組を特集して放送する「Shark Week(シャークウィーク)」にあわせて実施した自転車広告がこちら。

discoverysharktuktuk

逃げても逃げても追いかけてくるサメを振り払おうと、必死で自転車をこぐ人間の姿を想像するだけでなんだか笑えてきます。

そして最後は「RENAULT(ルノー)」がヨーロッパで展開したゲリラキャンペーン。

ClioFlirt

自転車の側面に張りぼての自動車を貼り付けて、街中のいたるところを駆け抜けていくというもの。狭い道でもスイスイと走り抜けられる小型車の魅力を伝えることが狙いのようです。

【参考記事】
・Guitar Hero: Velo Hero.[Advert Showroom]
http://advertshowroom.blogspot.com/2008/11/guitar-hero-en-vlo-et-en-viral.html
・Audi Q5: Bicycle | Ads of the World: Creative Advertising Archive & Community
http://adsoftheworld.com/media/tv/audi_q5_bicycle
・Discovery Channel: Shark Week | Ads of the World: Creative Advertising Archive & Community
http://adsoftheworld.com/media/ambient/discovery_channel_shark_week
・Have you seen something similar ? | Adland
http://adland.tv/content/have-you-seen-something-similar

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エルメス銀座店が教えてくれた「ブランドは広告でつくれない」の本当の意味

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1度だけエルメス銀座店で買い物をしたことがあります。

もちろんそれは「彼女へのプレゼント」と書きたいところですが、実際には自分用のシステム手帳。

社会人1年目のときに、雑誌で見かけたエルメスのシステム手帳に一目惚れした私は、薄給の身でありながら分不相応にもどうしてもその手帳が欲しくなったのでした。

そして、どうせ買うならということで1万円札数枚を握り締めて勇んで銀座の直営店へ。

店内に入ると、Tシャツにジーンズ姿の自分は周りの人に比べて妙に浮いているように感じられて、心臓はドクドク、冷や汗ダラダラ。

「お前、ちっちぇ~。こんなことぐらいで緊張してんの?」というさげすむような心の声と同時に、「逃げちゃだめだ! 逃げちゃだめだ! がんばれ!」というかすかに聞こえる自分を鼓舞する声。

そして私は意を決して店員さんの元へ。

「あっ、このターコイズブルーのシステム手帳くらさい。いや、ください!」

そんな妙なテンションの若者にも、キレイな女性店員さんは冷静に満面の笑みで対応してくれます。

「こちらですね」。そう言ってガラスケースに飾られたシステム手帳を手に取ると、私をなにやら高そうなイスへと誘導。「お包みしますので、しばらくお待ちください」と言ってシステム手帳を包み始めます。

そして、最後の関門、支払いへ。

財布から数枚の1万円札を取り出すと、「じゃ、これで」と私。

「はい。おつりをお持ちしますので、しばらくお待ちください」と言いながら、消えていく店員さん。

1分経過……2分経過……3分経過……。

「しまった!! こんな高級店で現金で買うヤツなんていないんだよ、きっと。普通はカード払いなんだよ。今ごろあの店員さん、『まったく、これだから貧乏人は! システム手帳1つ買うぐらいで声上ずっちゃって! ほんとイケテないヤツ!』とかなんとか同僚とボクを罵倒しあっているに違いない」なんて、待っている間にふくらむ過剰なまでの被害妄想。

私にとってはそんな永遠の時間に感じられるほどの数分間を経て、さきほどの店員さんがおつりを持って再び私の前へ。

即座におつりとショッピングバックを鷲づかみにして、そそくさと店外へ逃げ去る私。

でも、ここで気付いたことがあります。さきほど受け取ったおつり、それはまぎれもなく皺ひとつないピン札。

その時買ったシステム手帳はすでに押入れのなかで眠っていますが、そこで学んだことは私にとっては今でもとても重要なものになっています。

ブランドは広告でつくれない。いや、正確に言うと、ブランドは広告だけではつくれない。そして、もちろんブランドはPRだけでもつくれない。

広告もPRも、店のつくりも店員さんの対応も、もちろん商品も、そしておつりひとつでさえも、すべてがブランドを形作っているのだと。

広告やPRがどんなにうまくいっても、製品自体が粗悪品だったり、店員さんの対応が少しでもまずかったりしたら、それがどんな些細なことであれ、その時点でブランドは崩壊します。逆にそれらすべてが期待以上であれば、人はそのブランドを評価します。

例えば、今回のおつり。それは単なるおつりに過ぎないのかもしれませんが、それだけにそんな単なるおつりごときにこれだけ気をつかえるブランドだからこそ、そのブランドが製品に対してどれほど気をつかっているかをうかがい知ることができます。

そして、高級感を売り物にしているエルメスにとって、おつりはピン札であることが当然なのです。

そんなことを学べただけで、あの数万円は良い授業料になったと思っています。

それにしても、今度エルメスに行くときには、彼女を連れて大人の男としてカッコよく颯爽と振る舞いたいなぁ。

2009年9月14日 追記:
そうそう。上の出来事と関連する参考記事の紹介を忘れていました。

・広告かPRかの問題ではない、のに: mediologic.com/weblog
http://www.mediologic.com/weblog/archives/001890.html

 本質的には、広告主の課題を解決する手段としての(狭義の)「広告」が、以前はそれだけで“解決できていたように思えた”のが崩壊し、様々な手法が求められる時代になってきているということなのであり、PRですらその一部、にすぎない。となると、広告会社でもない、PR会社でもない、その上のレイヤーの位置する、マーケティングコミュニケーションエージェンシーが必要なんだろう。

つまりはそういうこと。

広告やPRだけでブランドを創り、守ることができないのなら、マーケティングコミュニケーション全般を統括することを考えることが必然的な流れなのだと思います。

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私にとっての「一平ちゃん」は、今でも溝端淳平ではなく松村邦洋です

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「明星一平ちゃん」。明らかにラーメン(焼きそば)を擬人化した商品名。

CMもラーメン店の店主・一平ちゃんを中心にストーリーが展開していく。

これほどまでにイメージキャラクターとなるタレントの姿が商品にオーバーラップするマーケティングってないでしょうね。

それなのに、ある日突然イメージキャラクターがずんぐりむっくりしたデブタレントから、若手イケメン俳優に変わるなんて。。。

おそらく松村邦洋の降板は健康面の不安などもあり、商品に与えるイメージを考えての仕方ない選択だったんだろうと思います(カップラーメンってただでさえ体に悪いイメージがあるのに、企業からしたらその商品のイメージキャラクターに肥満で倒れられても困るよね)。

でも、でもね、極めて個人的な感想を言わせてもらえれば、別に溝端淳平に恨みがあるわけではないけど、なんでそういうキャスティングになるのって感じ。

それはパッケージが変わるよりも、商品の味がちょっとばっかり変わるよりも、ブランドイメージに与える影響が大き過ぎ。

少しは前任のキャラクターに近い人選ってあったんじゃないのかなぁ?

まぁ、批判ばかりをしていてもアレなんで、最後にフォローも。

「明星一平ちゃん」はWebスペシャルサイトがあって、Web限定のオリジナル動画や3分タイマー、ブログパーツ、携帯着受&着ボイスなど、なかなかおもしろいコンテンツを公開しています。

特に、Web限定のオリジナル動画「一平ちゃんアフターストリー」の昭和ドラマみたいな安っぽいストーリー展開や、カップメンにお湯をそそいだ後で女の子が3分間の間をもたせてくれる「3分タイマー」は個人的にはかなりのツボです。

■ 明星 一平ちゃん スペシャルサイト
http://www.myojofoods.co.jp/campaign/ippei/
ippei_chan

というわけで、最後に指南役の『キミがこの本を買ったワケ』から、広告のリニューアルに関して書かれた部分をお得意の長文引用(人のフンドシで相撲を取る戦法)させてもらいます。

何年も変わらないCMが好きな理由

 慣れ親しんだ広告が、ある日突然変わることがある。
 商品がリニューアルしたから? いや、商品は変わらない。売り上げが不振だから? いや、売り上げはむしろ上向いている。消費者がCMに飽きたから? いや、CMの好感度は相変わらず高い。
 では、なぜ?
 長年慣れ親しんだ広告が、ある日突然変わる理由。往々にしてそれは、宣伝部の担当者が替わったからである。

 フランスのことわざに、こんなものがある――不在者は、常に悪者。
 新しい宣伝担当者は、広告代理店各社の営業マンらを招いた最初の挨拶で、大抵、次のようなことを言う。
「前任者のことは忘れてほしい。僕は僕のやり方でいく」
 代理店の営業マンの顔ぶれは前任者時代と変わらない。変わったのは、そこに新任の宣伝担当者がいることと、前任者がいないこと。
 こうなると、話の主旨は1つしかない。新任者はこう続ける。
「今までの慣習がそのまま続くとは思わないでほしい。コピー、タレント、メディア、すべてゼロから見直す」
 つまり、フランスのことわざをもじれば、こういうことになる。
 ――前任者は、常に悪者。

 こうして、長年親しまれたCMは、ある日突然、似ても似つかぬCMに生まれ変わる。愛嬌のあるコマ・ソンは流行のヒップホップに変わり、いぶし銀の名バイプレイヤーはハーフの女性モデルに取って代わられる。
 そして2カ月後、CM好感度ランキングから、かの商品は姿を消す。だが、前任者にとって救われたのは、商品の売り上げにはほとんど影響がなかったこと。
 もっとも、売り上げに影響を与えるほど、そのCMは消費者の関心にも上らなかっただけなんだけど。

 現代広告の父、オグルビーはこう警告する。
「広告は常に変えようとする攻撃に晒されている」
 それは、前述の宣伝部の担当者の交代だったり、はたまた自己を誇示したがるCMプランナーの出現(商品を誇示しろよ!)だったり――。
 アメリカの広告史において、最も成功した広告キャンペーンの1つがマルボロである。かの有名な「マルボロマン」の登場により、弱小タバコメーカーの1つに過ぎなかったフィリップモリス社は、世界一のシェアを誇るまでに成長した。
 かの広告は、1958年の登場から今日まで、一貫して同じコンセプトなのだ。

 かつてオグルビーは、優れた広告の条件を聞かれた時、こう答えたという。
「それは30年の使用に耐えられるのかね?」

桃屋とお客の幸せな関係

 さて、日本はどうだろう?
 オグルビーの条件に当てはまる広告など、あるのだろうか?
 それが、ある。ほら、桃屋の「ごはんですよ」でお馴染みのキャラクターの「のり平」、あれがそう。
 なんと、のり平の登場は、マルボロマンと同じ1958年。東京タワーが生まれた年からずっと、桃屋の広告は変わらないのだ。

 その広告効果は絶大である。僕らの頭の中には「のり平=桃屋」の公式が完全に出来上がっており、スーパーやコンビニの棚で桃屋の瓶詰めを見かけると、自然とあのCMが脳内で再生されるのだ。桃屋のCMなんて、桃屋のCMなんて、もう何年も見ていないのかもしれないのに。
 それは、たまに見かける桃屋のCMが、昔と変わらないからである。のり平を見て、僕らは里帰りしたような安堵感に包まれるからである。
 かつて、CMプランナーとして名を馳せた佐藤雅彦さんも、コンビニの棚に置いてある桃屋の瓶詰めについて「見えない衣があり、自然と手に取ってしまう」と語っていた。見えない衣の形成に、何年も変わらないCMが影響したことは多分、間違いない。

 でも、そんなのり平が、一度だけ消えそうになったことがある。
 1999年、のり平のモデルである三木のり平さんが亡くなられた時がそう。だが、この時、桃屋には「あのCMはやめないでほしい」というお客さんからの電話が3週間も鳴り止まなかったとか。そのあまりの反響の大きさに、宣伝担当者は改めてのり平が愛されていることを痛感し、CMの存続を決意したそう。
 現在は、三木のり平さんの息子さんである小林のり一さんが「声」役を引き継いでいるけど、その親ゆずりの声(本当にそっくり!)に、息子さんに替わったことに気付いていない人も多いと思う。

 桃屋の広告から得られる教訓。
 とにかく僕らは「変わらないCM」が好き。なぜなら僕らは基本、「広告」を信用していないから。微笑まれても、すぐにその裏にビジネスの匂いを感じとってしまうから。
 でも、そんなビジネスライクな広告の世界にあっても「何十年と変わらないCM」は、ちょっと信用できる。この何十年、世の中では色々なことが起きて、担当者も何代も替わっているはずだ。でも、桃屋のCMだけはいつも同じ。
 いい話だ。

そういえば、そんな変わらないCMの代表格として挙げられていた『ごはんですよ』のCMも、悲しいことに最近はちょっと変わっちゃったんですよねぇ。

こういう取り組みもしてはいるんですが。。。

■ 桃屋CM博物館 | 桃屋
http://www.momoya.co.jp/museum/
momoya_cm

・桃屋「のり平アニメ」CM、ネットで世界に発信 「大衆文化伝えたい」 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/24/news106.html

桃屋のテレビCMを年代ごとに紹介するサイトがオープンした。1958~93年に放送されたもので、日本語・英語の解説付き。「子どもや海外の人が日本の大衆文化を知るきっかけにしたい」という。

変えるべきものと変えてはいけないもの、しっかりと見極めていきたいものです。

キミがこの本を買ったワケ キミがこの本を買ったワケ

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業界にはびこる麻薬・競合プレゼンの使いすぎにご注意を。

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半月以上前に読んだ記事で恐縮ですが、どうしてもブログに書き残しておきたいことがあったので取り上げさせていただきます。少々長くなりますが、お付き合いください。

・Cripsin、VWの別れ。去る広告主は追わず[Ad Innovator]
http://adinnovator.typepad.com/ad_innovator/2009/08/cripsinvwの別れ去る広告主は追わず.html

 米マイアミのクリエイティブエージェンシーCrispin Porter + Bogusskyは、VWのアメリカのメインエージェンシーとして4年間の関係を続けてきたが、VWが他社を含めた広告会社の選択のための競合プレゼンをするにあたり、「我々は現在担当している広告主への競合プレゼンは参加しない。これはVWであっても例外ではない。VWの幸運を祈る」という声明を発表している。

この記事を読んで私が真っ先に思い浮かべたのが、仲畑貴志さんが『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ』という本の中で競合プレゼン(コンペ)について語られた以下のくだり。

競合プレゼンに勝つための、接待広告が危険である

 広告表現の競合コンペは、基本的にやらない。競合プレゼンテーションには問題があるからである。
 われわれ広告表現の職人も商売で、商売である限りは仕事にしなければいけない。仕事をするには取らなければならない。競合で何度も負けつづけると、事務所の空気が暗~くなる。いつもは仕事が終わると「パア~ッと飲みに行きましょう」などと騒ぐ男が、コソコソと帰って行ったりする。これはイカン。事務所の空気が暗くなるだけではなく、このまま負けつづけるとゴハンが食べられなくなる。次はどうしても取らなくてはイカンなどと考え出すと道を誤ってしまう。プレゼンのときに、クライアントの商品を売るための表現ではなく、自分たち広告屋の商品である広告表現を売るための提案をするという、最低の行為に走ってしまうのだ。
 仕事を取るために、クライアント好みの広告、クライアントにウケる広告、クライアントをヨイショする広告を提案する。コンペで勝つためのこのようなクライアントに媚びた広告をわたしは接待広告と呼ぶ。本来、ターゲットである消費者の心を奪う意図でこさえられるべき広告が、クライアントがターゲットとなり、クライアントの心を奪う目的でこさえられたとしたら、良い結果は得られない。生活者とか消費者と呼ばれる、姿も心も捉えにくい多くの人々の関心を得ることに長けている広告屋のプロなら、たった数人でジャッジするクライアントの欲求と好みを読んで、「あなたたちのほしいのはこれでしょ」と差し出すぐらい簡単である。ターゲットに向くべきベクトルが、発信者であるクライアントに向くという、完全に転倒した広告表現が効果を生まないのは当然である。
 競合プレゼンの目的は、より広くより多くの知恵を求めて、より新鮮で効果的な広告戦術を得ようとすることと、同じ組織とつづけることによる馴れ合いを防ぐため。だとしたら、斬新な知恵を得るどころか、仕事を取るための、クライアント好みの提案にハメられる危険は、馴れ合いが生むという訴求力の低下より恐ろしい。

いかがでしょう? 私はこれを読んで、その通りだと思いました。

広告会社の人間にとって競合プレゼンというものはいわば麻薬に近いものがあります。苦労して準備した競合プレゼンに勝てれば、それこそ天にも昇る高揚感が味わえます。

私自身は麻薬を打ったことはありませんが、おそらくクライアントから「社内で協議した結果、御社に決定しました」という言葉を引き出した瞬間などは、アドレナリンが一気に噴き出して、それこそ麻薬を打った瞬間にも匹敵するぐらいの恍惚感があるのかもしれません。

だから、広告会社からも競合プレゼンに対してあまり否定的な意見は聞かれないように思います(それ以外の理由もあるんですが)。

そして、一方のクライアントの担当者にとっても、仲畑さんが指摘するように、「より広くより多くの知恵を求めて、より新鮮で効果的な広告戦術を得ようとすることと、同じ組織とつづけることによる馴れ合いを防ぐため。」という目的があり、また競合プレゼンを実施することで広告代理店選びの透明性が図れ、その理由が明確になる、金額の安い代理店を選べるなどのメリットもあることでしょう。

ただし、現実問題として競合プレゼンは良い面ばかりではなく、上に書かれているようなデメリットも多分に含んでいることは理解する必要があるのではないでしょうか。

おそらくクライアントの担当者の方は、「じゃあ、どうすればいいのよ?」という疑問が残ると思いますが、そのひとつの解決策が以前のエントリーで紹介した米国VW社の総責任者K・ H・ハン氏の代理店選びの方法にあると思います(冒頭の記事にあるクライアントが米国VW社というのが、なんとも皮肉な話ですが)。

ハン氏は新しい広告代理店選びに際し、過去1年分の雑誌・新聞をめくり、自分が気に入った広告を切り抜き、それを制作した広告代理店を秘書に調べさせました。結果、切り抜かれた広告の70%がDDBによって制作されたものでした。そこでハン氏は競合プレゼンを実施せず、DDBを代理店に選んだのです。

私はクライアント側に立ったことのない人間なので、クライアントの担当者の方からしてみれば、「そんなこと言ってもお前、オレらそんなに暇じゃないんだよ」とか、「ウチの会社は伝統的に競合プレゼンでしか広告代理店は選ばないんだよ」などの反論もあることと思います。

ただ、それでも私がここであえてこうした意見を取り上げたのは、これまであまりにもこうした意見が聞かれることが少なかったので、仮に競合プレゼンを実施するにしても、そのメリットだけでなくデメリットも知っておくべきではないかと感じたからです。

また、仲畑さんの本には、次のようなことも書かれています。

毎年、競合をするという浪費。

 広告制作者が疲弊している。かたちにならない競合プレゼンテーションが連続しているからだという。
 仕事は好きだから、忙しいのは別にかまわないのだけど、やみくもなプレゼンテーションが多くて、それがつらい」というのである。
 たとえば大きなクライアントの場合、平均4社ぐらいの競合になるらしい。そして、彼の会社では3チームほどが結成されるという。その1チームで20案ほどを出し、中から数案に絞り提出するから、他社も入れ単純計算すると、240分の1で提案が日の目を見る可能性を持つ。宝くじよりは良いけれど、0.416パーセントほどの確率となる。
「たまたま取っても、勝ったという気がしないですね、当たったって感じです。だから、逆に負けたという屈辱感もなくていいですけどね」と笑った。
 しかし、クライアントが数社に競合をさせ、それを受けて多くのチームを立てるのは、それぞれの広告会社思惑であるから、結果、低い率の勝ち目になるのはしかたがない。
 それよりわたしの疑問は、現在オン・メディア中の広告が評判も悪くないというのに、1年過ぎると約束事のように競合プレゼンが行われることである。
 ヒトは思いの多寡によって前傾姿勢をとったり、逆に捨てばちになったりする生物だ。良きパートナーシップが確立され、信頼を得ていると思うと、強い力を発揮する。
 良い広告制作者に出会ったら、数年はそのチームに連続して仕事をまかせるべきである。長く付きあうほどに、企業、マーケット、商品についての情報の摂取と蓄積が豊かになる。そして愛情が芽生える。
 毎年、制作者を変えるようでは商品もすこやかに育たない。子供の育成を考えてみても、年ごとに育てる人物が変わるような環境では、その子はすこやかに育つわけがない。それに、だいいち不幸ではないか。

というわけで、くれぐれも競合プレゼンの使いすぎにご注意を。

なお、今回長文引用させていただいた仲畑さんの本はまだ読んでいないという方には心からおすすめします。私などは重要箇所にアンダーラインを引こうと思って読み進めたものの、途中でアンダーラインを引くことをあきらめました。

理由は、アンダーラインを引いていったら、本が1冊丸ごとアンダーラインだらけになるからです。それぐらい重要な論点にあふれた本です。

また、上の文章を読んでいただいてもわかる通り、小難しい言葉が一切使われていないのもすごい。

これは自分がバイブルだと思っている『明日の広告』の佐藤尚之さんや『広告コピーってこう書くんだ!読本』の谷山雅計さんにも共通することですが、やはり人に何かを伝えることを仕事にしている広告マンは、このようにいかに伝えたい内容を噛み砕いて、相手に伝わる言葉を選んでいくかってのが、重要なセンスだと思います。

私が頭悪いだけかもしれませんが、「エンゲージメントがどーしたこーした」「カスタマーリレーションシップがうんたらかんたら」言われても、そんな話はまったくもって頭に入ってきません。

あっ、話が脱線しましたね。仲畑さんの本、本当に良いですから、騙されたと思って読んでみてください。私もこれを機にあらためて読んで、全文暗記に挑戦してみようと思います(?)。

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