広告コミュニケーションの最適解は広告会社とクライアントの傾聴・対話によってしか見えてこないんじゃないかなぁ

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昨日のエントリーで『ユニクロ思考術』という本を猛烈にプッシュさせていただきましたが、今回はその中でもとくに佐藤可士和さんが広告ビジネスについて語ったページに強く惹かれる文章があったので、その部分を転載させていただきつつ考えをまとめたいと思います。

ところでいきなり話は脱線しますが、私は特定の広告マンを尊敬しすぎるとその時点でその人の手がけた広告や言動がオールOKになってしまうので、それはあまりよろしくないことだと考えています。

なにしろ広告にとって重要なのは、それが誰の仕事かではなく、それがどんな仕事なのかの方なわけですしね(当然ですよね。消費者は「これはいったい誰が作った広告だろう?」なんて目で広告を見ているわけではないですから)。

でもそんな私にとって1人だけ例外が存在します。それが佐藤可士和さん。恥ずかしながら私にとって可士和さんだけは別格なので、彼の言動だけはちょっとばかり贔屓目(ひいきめ)で見てしまっているかもしれません。以下の文章はその点をご理解の上、読み進めてください。

と、エクスキューズも終わったところでさっそく本題へ。

可士和さんのコメントは本やテレビ、講演などで頻繁にチェックさせていただいていますが、そのなかでいつも決まって仰っているセリフがあります。それが、「僕の仕事は、お医者さんの問診と同じ」というもの。

本当にどんなインタビューや講演などでもお約束のようにこのセリフが登場します(逆にそれがブレずに一貫している姿勢を体現していて尊敬できるわけですが)。

そして、『ユニクロ思考術』でもやっぱりというか案の定というか、このお決まりのセリフが掲載されています。しかも、その文章はこれまでどのメディアや講演などで語っていた内容よりもわかりやすくて、胸にズシーンと来るものがありました。

なので、長文になりますが、その文章を転載させていただきます。

お医者さんの問診のように

 僕の仕事は、お医者さんの問診と同じです。まずはクライアントから徹底的に話を聞くことから始めます。自分たちのブランドを世の中にどう認識してもらいたいのか? 本来そのブランドが持っていたはずの本質とは何だったのか、その上でいま課題になっている部分は何だろうか。それらがお互いにはっきりと見えてくるまで話し合うわけです。この過程を抜きにして、なんとなく新しいイメージだけをデザイン的につけ加えたって、なんにもならない。
 最初のうちは互いに矛盾する要望が並んでしまう。ビジネスといっても暮らしのなかの普通の欲求とたいして変わらないものです。「食べたいけど痩せたい」とか「遊びたいけど金も稼ぎたい」みたいなものがどんどん出てくる(笑)。
 ベクトルがあっちこっちバラバラで相反する要望に、それぞれ対症療法で向かおうとすると、本当の意味での解決策は見つかりません。そのやり方だと、またいつか同じ症状が出て、同じ薬を出すという繰り返しになりかねない。
 でもそういう矛盾は、企業の本質がしっかりしていれば、話し合っているうちに「こういう視点から見れば、答えはスパっとひとつになりますよね?」と提案できるところへたどりつきます。その視点を見つけ出すのが僕の仕事です。
 最初からロゴが頭にひらめくとか、いつかこういう書体でデザインしてみたかったとか、デザイナーとしてやってみたかった絵柄をここで表現させようなんていうのは、まったくない。ひらめきでやりたいことをやっている、と思われることもあるみたいですが、デザインは一人歩きはできない。まずは問診ありき、です。

残念ながらいますよねぇ。自分の表現欲求を満たすのを優先するクリエイターや、あたかも広告を芸術作品と勘違いしている人って。

でも、本当は広告の仕事って可士和さんが言うように、答えはこちら側にあるんではなく常にクライアント側にあって、それをどう引き出せるかが肝心なんですよね。

それを象徴する例が、つい先ごろ可士和さんがテレビ番組に出演した際に語っていたダイワ精工の社名変更に関わったエピソード。

ダイワ精工の社名変更にあたって、最初可士和さんは社長に「ダイワ以外なら何でもいい」と言われたそうです。そこで、社内のいろいろな部署を回って、ヒアリングに一年を費やし、新社名を「グローブライド」に決めたとのことでした。

ヒアリングだけで1年ですよ。どんだけクライアントの意見を聴きまくってるんだよって感じですが、これが可士和さん流の問診なのでしょう。

もちろん、こうしたことができるのは可士和さんぐらいのネームバリューがあって、それ相応の金額で仕事を引き受けているからこそできることなのでしょうが、ただ可士和さんの信念である「まずは問診ありき」の姿勢が顕著に現れているエピソードだと感じました。

そして、こうした「まずは問診ありき」の姿勢というのは本当は多くの広告マンが見習うべき点ではないかとも思います。でなければ企業の本質なんて見えてこないし、その企業にとっての最適な広告の形なんてみつからないんじゃないのかなぁ。

ただ、なかなかそのような問診が行なわれていない現状を生み出している原因というのを突き詰めて考えてみると、何も広告会社側だけの問題ではなくて、そこにはクライアントさん側の問題もあるということも一応ここでは言っておきたいと思います。

というのも、私の数少ない経験に照らし合わせて考えてみても、広告会社に問診をする気があっても、クライアント側の担当者さんがきちんと自社の本質・課題について考えもせず「なんとなく気分が悪いから薬をよこせ!」だったり、「まずは薬を出せ!そうしたら、それが効果的な治療法なのかオレが評価してやる」といった態度を取るケースも多いように感じられます。

本来治療を必要としているなら、まずは問診を受ける患者側にもそれなりの準備や姿勢というものが求められるんじゃないんでしょうかね?

消費者とのコミュニケーションを効果的なものにしたいと言うなら、その前にまずは広告会社とクライアントのコミュニケーションは密にしないと、話は進まないんじゃないかなぁ、なんて僭越ながら思うわけです。

ところで、『ユニクロ思考術』ではさきほど転載した文章のあとも、さすが可士和さんという鋭い指摘が続きます。

個人的にはこちらの文章もかなりグググッと刺さったので、最後にそちらの文章も転載させていただきますね。

クリエイティブの力

 矛盾する希望をひとつに集約できる視点が見えれば、そこからはデサインの力、クリエイティブの力の出番になる。
 ここは問診と違って、あざやかに一気にやらねばならない。問診の結果をもとに、単純な足し算をしていては駄目なんです。クリエイティブの仕事にはある種のジャンプが必要だからです。模範解答的なデザインでは、「まあ否定はできないけど、感動もしないなあ」という(笑)平均点的な結果にしかならない。
 美大を卒業してから僕は広告代理店に入ったわけですけど、入社する前は広告に対して「メディアを使ったアート」のようなイメージを持っていた。だから会社に入ってみたら「えーッ? 全然イメージと違う!」(笑)と驚いたこともあります。広告というのは企業の経済活動や経営戦略の一環であって、必ずしもアート的な格好いい広告をつくるのが正解とは限らないわけです。というか、格好いい広告は特別な事例。代理店での十年間で、僕はクライアントの要望とはどういうものか、結果はどうやって出していくのか、世の中の常識的なことを一から学ぶことになった。だからと言って、自分のなかのアート志向を葬り去ったわけじゃない。「ダセえなあ」と感じる美大生的な感覚は、それはそれとして維持し続けています。それがジャンプする原動力にもなっている。

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柳井 正

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東京マラソンのゼッケンナンバーを入力すると、その人のゴールシーンが見られるWebサービス

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Twitterでつぶやいたら予想外に反響があったので、ブログでも紹介しておきます。

昨日行なわれた「東京マラソン2010」、悪天候の中で大変だったでしょうが、走られた方は本当にお疲れさまでした。

ちなみにご存じない方もいるようですが、こちらの日本テレビが開設しているWebページではゼッケンナンバーかゴールタイムを入力すると、ゴールシーンの映像が確認できますよ。

■ ゴールシーン動画 | 東京マラソン 2010
http://www.ntv.co.jp/tokyomarathon/goalmovie/index.html
tokyo_marathon_goal_movie

インターネットならではの双方向性を生かした素敵な企画ですね。

いつまでこのWebページが公開されているのかわかりませんので、ご覧になりたい方はお早めにどうぞ。


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