スーパーボウルのCM枠でさえもトイレタイムに成り果ててしまうのかもしれない
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昨日は全米が注目するアメリカスポーツ界最大のお祭り、スーパーボウルの開催日。
今年で44回目となる決戦は、スーパーボウル初出場のセインツがコルツを31対17で下して初のNFL王者に輝きました。
セインツは5年前にハリケーン「カトリーナ」によって壊滅的な被害を受けたルイジアナ州ニューオーリンズ(ジャズの聖地としても知られ、きっとセインツ[聖者]というチーム名もジャズのスタンダードナンバー「聖者の行進」から来ているのでしょう)を本拠地とするチームで、今回のスーパーボウルは多くの人たちに勇気を与える結果にもなったようです。
そして、このスーパーボウルの試合はWebでもリアルタイムで大きな盛り上がりを見せ、試合中には「Twitter」にアクセスしづらい状況も発生しました。
いやぁ、今年のスーパーボウルも盛り上がって本当によかったよかった。
ところが、一方で残念な話も。
というのも、スーパーボウルと言えば必ず引き合いに出されるCM1本(30秒)300万ドルと言われる高額なCM放送枠を舞台とした「広告の祭典」の一面に、どうやら少しばかり異変が起きているらしいのです。
さきほど、「Twitter」を通してサンフランシスコ・シリコンバレー在住のマーケッター、大柴ひさみさんに現地の反応を伺ったところ、以下のような貴重な情報をお聞きすることができました。
@hisamioh: 私はハンバーガー&スポーツバーのカウンターで眺めていましたが、みんなライブのゲームを大いに楽しんでいました。広告にも多少反応していましたが、昔と違っていつでもオンラインで見られるのであまり盛りあがっていないようでした。
@hisamioh: ゲームはライブで勝負結果を追うのでエキサイトメントがありますが、CMはオンラインであとでまとめてみるという感じで、緊張感がないです。広告は「weird(奇妙な)」になっていくという意見があり、考えすぎた結果「pointless」になったようです。
@hisamioh: もう、アップルの「1984」のような広告のクラシックは生まれないと思いますし、そんな期待も消費者にはないと思います。バドワイザーもすでにベルギーのビール会社に買収されていますし、スーパーボウルのCMの位置づけも、「風向き」が変わったような気がします。
@hisamioh: 300万ドルの価値は「ブランドとターゲットオーディエンスがエンゲージできるかどうか」なので、祭りの神輿に担ぎ手として参加しても見物客の誰に向かってメッセージをしているのかということが明解でないと「そういえばいたよね」という程度で終わってしまいます。ちょっと悲しい
昨年同時期に書いた記事で、私は「『CMタイム=トイレタイム』なんて方程式は、ことスーパーボウルのテレビ中継では当てはまらないだろうなぁ。」なんて呑気なことを書いていたのですが、どうやら「CMはオンラインであとでまとめてみる」ことが当たり前になってくると、スーパーボウルのCM枠でさえもトイレタイムに成り果ててしまうということなのかもしれません。
しかもそれだけでなく「広告は『weird(奇妙な)』になっていくという意見があり、考えすぎた結果『pointless』になったようです。」といったクリエイティブの問題指摘もなされています。
私も今日になってYouTubeのADBLITZチャンネルにアップロードされたスーパーボウルのテレビ中継で流されたCMを見て、随分と今年のCMは駄作ばかりだなぁと感じていたのですが、やはり現地でもそうした反応なんですね。
こんな状況では、今回のスーパーボウルでペプシが広告主から撤退したように、来年もいくつかの企業が広告主の座を降りることが予想されます。
ところで、こうした話をして誤解されたくないのは、「やっぱりテレビCMってもうダメだよね」とか「アメリカの広告もたいしたことないよね」とか、私は単純にそういう話をしたいわけではないということです。
それよりも、この出来事の裏にある本質を日本の広告業界(そして広告主も)がどう捉え、どう活かして行くかの方に関心があります。
これ以上の長文を書く気もないので、私個人の具体的な意見をここで書く気はないのですが(機会があれば、会ってディスカッションしましょう)、こうした話をこのブログを読んでいただいている方にも他山の石として発想の起点として活かしていただけたらなぁ、と思います。
なお、堅い話ばかりは性に合わないので、最後に今年のスーパーボウル放送枠のCMを見たなかで、個人的に気に入ったCMを貼りつけておきます。
それから、クリエイティブとしてさほど魅力は感じなかったのですが、スーパーボウルの放送枠を使ってNFLが今シーズンのファンの応援に感謝を伝えるCMを流していたのが印象的で、ステキなメッセージの伝え方だなぁと思いました。
ご興味ある方はYouTubeのこちらのページから主要なCMがご覧になれますのでどうぞ。個々のCMに対して、好き嫌いの投票もできますよ。
■ YouTube - adblitzチャンネル
http://www.youtube.com/adblitz

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市川伸一(

Sousekiさん、Tweetへのコメントをまとめていただきありがとうございました。スーパーボウルのTVCMの価値はもちろんあると思いますが、企業はホリスティックな戦略のもとに活用しないと、もったいないと思います。ブランディングの面では、Audiの評判がいいみたい。
Posted at 2010.02.10 3:47:53 by 大柴ひさみ
大柴さん
とんでもないです。こちらこそ、いつも貴重な情報ありがとうございます。
今回もせっかく勉強になるお話をいただいたので、独り占めしないで少しでも多くの人とシェアしたいと思って、正式な了承も得ないまま勝手に引用させていただきました。失礼いたしました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
>ブランディングの面では、Audiの評判がいいみたい。
なるほど。AudiのエコカーをアピールするこちらのCMですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Wq58zS4_jvM
きっとメッセージ性とコンテンツ性のバランスを考えると、スーパーボウルの放送枠ではこのあたりが妥当なのでしょうね。
ビール片手にくつろぎながら観戦するスーパーボウルの中継ではきっとユーザーもCMにエンターテインメント性を求めていると思うので、企業メッセージばかりが目立ってしまっても反感を買うでしょうし、かといって奇抜なだけのCMでは企業にとってメリットがありませんもんね。
それに、1億650万人が視聴するというリーチを考えると、これなら英語を話せない移民系の人でもバッチリ内容が理解できそうな気がします。
なんて、勝手に分析ですが。。。
Posted at 2010.02.10 10:57:18 by Souseki
Sousekiさん、その分析はあたっています。このCMのミュージックの歌詞がコンセプトにぴったりで、みんな喜んでいます。「You picked the wrong day to mess the ecosystems, plastic boy」いつも思うんですが、広告は理屈じゃなくて、自分でターゲットの気持ちになって、どんな気分でゲームや広告を見ているかが、ポイントだと思います。バランスか感覚は「Common Sence」ですし、相手を心地よくしてあげようと思えば、自然に答えが見えてくるはずです。
Posted at 2010.02.10 17:03:20 by 大柴ひさみ