真のコミュニケーションデザインを考える上でのヒント集『ユニクロ思考術』

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異論があることは重々承知の上で書かせていただきますが、最近良く聞く「コミュニケーションデザイン」なる仕事は広告会社側の仕事ではなくクライアント側の仕事ではないかと思っています。

なぜなら、広告会社の言っているコミュニケーションデザインって、そもそもそのほとんどが広告やPRといったプロモーション領域の部分だけを見て話をしていることがほとんど。

でも、実際問題として企業と消費者のコミュニケーションって広告やPRだけじゃないですよね。

(実店舗があれば)店頭での接客しかり、コールセンターでの対応しかり、そしてお店の作りだったり、商品そのものだって企業と消費者のコミュニケーションを形作るもの。そして、広く言えばIRや採用活動だってコミュニケーション活動の一環。

だとしたら、プロモーションの部分だけを抜き出してコミュニケーションデザインなんて言うのはおこがましいにも程があると思うんです。

それならばいっそ現在の広告会社がプロモーション以外の企業と消費者のコミュニケーションすべてに介入すればいいと思ったりもしますが、実際問題としてそれは無理。

なぜなら、そもそも広告会社がクライアントの人たちと面しているのはせいぜい数名の役員と広報宣伝部ぐらい。本来すべてのコミュニケーションをデザインしようと思ったら、もっと企業の中に入り込んで商品開発部門や営業部や人事部など、その他多くのセクションと綿密にやり取りして、すべてをコントロールするだけの情報も権限も与えられなければ話になりません。

でも実際は、そんなことは無理なんです。なにしろ、そこまでの仕事になるとそれは既存の広告会社の枠組みではなく企業活動の包括的コンサルティングになるので、もっと多くのお金をもらえなければやっていけないし、短期のキャンペーン単位での契約ではなく、少なくとも5年、10年という長期での契約がなければ結果なんて残せないし、そこまでのコミットもできない。

そして、そもそもそれを実行できる人材は広告会社にどれだけいるのかというのも難しいところ。

で、結局あるべき姿としては、企業のなかにコミュニケーションデザイナーがいて、その人間が立てた全体戦略をプロモーション領域に落としこんで実行するのが広告会社の姿であるような気がします(もちろん、広告会社も全体戦略を決める上で一緒に考えていくことは必要不可欠だと思うけど)。

つまりはコミュニケーションデザイナーが社内にいて、各種コンサルや広告会社、PR会社などにタクトを振ることが最適解なのではないかと。

そんなことをここしばらく考えていたときに出会ったのが、昨年末に読んだ『ユニクロ思考術』という本(ちんたら考えをまとめているうち、紹介するのがだいぶ遅れてしまいましたが)。

この本ではユニクロのビジネスに関わる総勢23名の方々が登場していますが、それこそ登場するのはプロモーション領域の人たちだけではなく、経営戦略や商品開発、店舗開発・運営、果ては建築家など、広い意味でのコミュニケーションデザインに関わる仕事をしている方々(下に目次を載せておきますが登場するメンバーがとても豪華)。

そして読んでみると、そうした人たちが柳井社長を中心としてみんなで「ユニクロらしさ」の追求というひとつのベクトルに向かって仕事をしていることが感じられます。

この本は、今後企業活動において重要だと言われるコミュニケーションデザインなる言葉が本当はどんな意味かを考える上で必読の1冊だと思います。

それから、この本に関して興味深いなぁと感じたのは、この本が季刊誌『考える人』(新潮社刊)に掲載されている編集部制作のユニクロ企画広告をもとに構成、再編集されているという点。

つまりは、記事広告をまとめて1冊の本として販売されているということ。

ご存知のように記事広告はあくまで広告なので、記事単体で見れば広告主から広告費が入ることですでに損益分岐点を越えているはず。しかし、それをさらに書籍化して販売しているというのがなんとも珍しい。

そして、記事広告というと得てして広告主を不自然なまでに持ち上げた提灯記事で、読む気が失せるものが多いのですが、この本に収められている記事は普通に読んでいてかなり読み応えのあるものばかりでビジネス書としてのクオリティが非常に高い。

この辺にプロの編集者の仕事ぶりを感じるとともに、ここに何か出版社がコンテンツメーカーとして生き残る1つのヒントのようなものも隠されているような気がしました。

というわけで、すでに広告としての収益を確保しているためか、記事内容に対して書籍の価格が驚くほどリーズナブルに設定されていて、間違いなく一読して損のないものになっています。自信をもってオススメしたい1冊です。

ユニクロ思考術 ユニクロ思考術
柳井 正

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『ユニクロ思考術』目次
はじめに 柳井正
I 「引き算」の創造力
 合理的であることに対する美意識
  アートディレクター 佐藤可士和
 引き算で目立たせるデザイン
  インテリア・デザイナー 片山正通
 志と挑戦精神から出て来る大きなもの
  クリエイティブ・ディレクター タナカノリユキ
II 「ウェブ・マーケティング」の方法論
 「いいですよ」と連呼する時代はもう終わり
  ユニクロマーケティング2部新メディア情報発信チームリーダー 勝部健太郎
 だれがパズルの最後のピースをはめるのか
  クリエイティブ・ディレクター 田中耕一郎
 原点は子どもじみた驚きをつくること
  インターフェース・デザイナー 中村勇吾
III 「アイデンティティ」の競争力
 自分のルーツを絶対に捨てないこと
  ユニクロ・ホンコン・リミテッド総経理 潘寧
 ポジティブに考えないと前には進めない
  ユニクロ(U.K.)LTD.代表取締役社長 永竹正幸
 日本、アメリカ、フランスで考える
  ユニクロ・フランス社マーケティングディレクター ポール・マイルズ
 グローバルで戦うアイデンティティ
  ユニクロUSA代表 堂前宣夫
IV 「プロジェクト」の説得力
 売れる売れないだけでやっても仕事はつまらない
  ユニクロマーチャンダイジング部 進藤宣英
 難しさがプロジェクトの志気を高める
  ユニクロデザイン研究室室長 多田裕
  ユニクロデザイン研究室 久保下陽
 今こそ「未来は明るい」を表現する
  ユニクロ・レイアウト・チーム 北村文人
 ベーシックの奥深さを追究すること
  建築家 ジュゼッペ・リニャーノ
  ユニクロデザイン研究室執行役員 小林広幸
 店に足を運ぶ高揚感に、楽しさを創出する
  ユニクロマーチャンダイジング部執行役員 中島徹郎
 「人の喜び」は理屈だけでは作れない
  ユニクロ店舗開発部デザイン担当 渡辺有紀
  建築家 アストリッド・クライン
  建築家 マーク・ダイサム
V 「働く理由」を問い直す
 一生懸命働いてもいい会社を求めて
  ファーストリテイリング次世代SPA開発部部長 松山真哉
 漠然とした不安のトンネルを抜けて
  ユニクロシンガポール社長 小野口悟
 「取り引き」ではなく「取り組み」を
  ユニクロ生産本部執行役員 永井弘
おわりに 柳井正

追記:
いまさらの話になりますが、昨年9月11日に開催された第4回 JaM Media Session in Tokyo」に参加後、東急エージェンシーの菊井局長にお誘いいただき、講演者の大柴ひさみさんを囲む夕食会に参加させていただきました。

その会には、東急エージェンシーの方々をはじめ、昨年の9月2・3日に行なわれたデジタルマーケティングのカンファレンス「ad:tech」の日本初開催に尽力され、「Web人 of the year」にも選ばれた株式会社オリコムの武富さんやD2Cの藤田社長なども参加するという何とも華やかな顔ぶれ。

私としては若干場違い感があり気後れする部分もありましたが、勇気を出していろいろとお話をさせていただきました。

そして、そのなかで大柴さんに「日本の広告業界ではコミュニケーションデザインについて注目が集まっていますが、アメリカではいかがですか?」と質問させていただいたところ、意外にも大柴さんが「?」という顔をされました。

よくよく伺ってみれば、「コミュニケーションデザイン」という言葉は和製英語で、そもそも海外ではそんな言葉は通用しないのだそうです(ちなみに大柴さん曰く「なんで日本の広告マンはみんなカタカナ言葉が好きなのかしら?」とのこと)。

概念的には決して大きく間違っているとは思わないのですが、くれぐれも言葉の使用にはご注意を!


太陽が昇らないはずの冬の町に奇跡の光が注ぐトロピカーナのドキュメンタリーCM

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カナダのノースウエスト準州にある北極圏の町・イヌヴィック

この町は冬になると30日間も太陽が姿を現さず昼でも暗闇に包まれるのだそうです。

しかし今年の1月8日、なぜか太陽が昇らないはずのこの町に突如として日の光が降り注ぎます。

実はこれ、トロピカーナ・ブランドがCM撮影のために実施した大掛かりなイベント。

大光量のライトを取り付けた36フィート(約11メートル)の気球が打ち上げられ、その光を浴びて喜ぶ町の人々の姿が描かれるこのドキュメンタリーCMは、神秘的でなかなか素敵な映像に仕上がっています。

太陽の光を浴びて育った果実をふんだんに使ったトロピカーナのジュース、それをみんなの元に届けるという商品コンセプトが上手に描かれたCMだと思います。

ただ惜しむらくは、「太陽+ジュース」というとサンキスト・ブランドとイメージが被ってしまう気がして、そこにさらにトロピカーナ・ブランドならではのエッセンスが何かあるとより良かったのかなぁなんて思ってしまいました。

【参考記事】
・Tropicana : Arctic Sun | scaryideas.com
http://www.scaryideas.com/content/16122/
・Tropicana - Arctic Sun (2010) :60 (Canada) | Adland.tv
http://adland.tv/commercials/tropicana-arctic-sun-2010-60-canada


地下鉄出口の回転ゲートに登場した世界一大きなマスカラブラシ

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カナダで展開されたマスカラのアンビエント広告(もともとそこにあったものを本来の機能を損なわずに広告にしたもの)です。

説明しなくても見たらわかりますよね(笑)

lashblast-awards

【参考記事】
・CoverGirl LashBlast Length: Entry gate | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/covergirl_lashblast_length_entry_gate


「引きこもってネットばかり使ってないで、体も鍛えた方がいいぜ!」って広告

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ゴールドジムが南米コスタリカで展開したグラフィック広告。

ネットを使う時間を削って、その時間でジムに行って体を鍛えた方がいいんじゃない。さもないとこんなブヨブヨな体に。。。ってことなのでしょうね。

クリエイティブはもう少しやりようがあった気はしますが、時代感のある訴求ポイントは間違っていないような気はします。

ゴールドジム_Facebook
▲ Lo que no metiste al Facebook, metelo en Gold’s Gym.(Facebookを外して、ゴールドジムにそれを入れてください)

ゴールドジム_Messenger
▲ Lo que no pusiste en messenger, ponelo en Gold’s Gym.(Messengerを外して、そこにゴールドジムを入れてください)

ゴールドジム_Twitter
▲ Lo que no te entro en twitter, que entre en Gold’s Gym.(Twitterを外して、そこにゴールドジムを入れてください)

私も最近は寒さに負けて自転車に乗れてないので、そろそろ暖かくなってきたことだしPCから離れて体を動かさなきゃ、とちょっと危機感が襲ってきました。

(注)日本語訳はかなりアヤシイです。

【参考記事】
・Gold’s Gym: Facebook | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/golds_gym_facebook
・Gold’s Gym: Messenger | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/golds_gym_messenger
・Gold’s Gym: Twitter | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/golds_gym_twitter


これぞ『使ってもらえる広告』。ベネトンが提供するケータイ向けTwitterサービス

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イタリアのファッションブランド「ベネトン」が今月23日に開設した日本語版モバイルサイト。今回はその取り組みがかなり画期的だったのでご紹介させていただきます。

というのもこのサイト、コーポレートサイトであるにも関わらず携帯電話からTwitterが利用できるWebサービス(Twitterクライアント)にもなっています。

つまり簡単に言うと、企業の顔となるコーポレートサイトの中に「モバツイッター」ライクな機能を盛り込んでしまったというわけ。

■ UNITED COLORS OF BENETTON. モバイルサイト
http://mobile.benetton.jp/
benetton_mobile

詳しくは以下の記事に書かれていますが、「企業としてTwitterのインターフェースをモバイルサイトに丸ごと組み込むのは日本初の試み」だとのこと。

・ベネトンのモバイルサイトでTwitter | fashion | verita
http://www.veritacafe.com/news/fashion/2010/02/1588/

これぞまさしく『使ってもらえる広告』(ブランデッド・ユーティリティ)ですね。

最近、企業が実施するWebキャンペーンってあまりにも数が多くなりすぎて全然追い切れないし、Twitterを使ったキャンペーンなんてのもよく見かけるけど正直どれも似たり寄ったりで記憶にすら残らない。

それについては『使ってもらえる広告』でも「みんなメンドくさいからウェブを使うんじゃん。なのに、ウェブの中にまたメンドくさいコンテンツがあってどうするんだ?」という言葉で指摘されたりしているんですが、それに比べてこのベネトンの試みは一過性のWebキャンペーンではなく企業の顔となるコーポレートサイトでWebサービスを提供するというのが画期的ですばらしいと思います(そういえば以前私もこんな記事を書いていたっけなぁ)。

みんなが同じフィールドに立って団子状態で戦っているのを尻目に、あえて違うフィールドを探してそこを取りに行くというナイスチャレンジ! きっと社内調整など大変だったと思いますが、これを実現できたことにホント頭が下がります。

そうそう。しかも、その提供するWebサービスがTwitterクライアントって点も賢いなぁと感心させられました。

なにしろTwitterクライアントなら頻繁にユーザーにアクセスしてもらえるので、ブランド接点が数多く創出できます。そして、その他にもいろいろなメリットが考えられるわけです。

さきほどTwitterを見ていたら、サイト制作に携わった江坂さん( @esaka )がまさにそのメリットについて言及されていたので、そのあたりもしっかり考えられているようですね。

■ Twitterをサイトに組み込むことのメリット
1.ASPサービスで簡単に携帯サイトが作れる
2.Twitterクライアントとしても操作性がいい(ものを作ればユーザーが集まる)
3.1日に何度もアクセスされるサイトになる
4.サイトのコンテンツをTwitterで構成できる

さらに、Twitteアカウントでユーザー管理をすれば…
5.メルマガの代わりとしても使える
6.個人情報の管理も比較的容易
7.コミュニティが形成できる

(※ 文言は私の方で少し修正しています)

蛇足ですが、このサイトが開設された件をツイートしたらベネトンの広報さん( @benettonpress )から直接お礼のツイートをもらって、それをキッカケにDMでサイトの改善点についてやりとりさせていただきました(もちろん1ユーザーとして無料で)。

かなり真剣に取り組んでいるようなので、使ってみた感想などを広報さん宛に直接ツイートしてみたら、きっと喜んでくれると思いますよ。

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