鏡を使った広告いろいろ。これが古くからあるアナログ版の拡張現実(AR)だ!

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現実の映像にコンピュータ処理した付加情報を重ね合わせて表示する「拡張現実(AR)」というデジタル技術。広告・IT関係のニュースを日々チェックしている人ならお分かりのように、このところ頻繁に目にする言葉ですね(このブログでも何度か「拡張現実(AR)」に関する記事を書いていますしね)。

しかしながら、ただ単に現実の映像に付加情報を重ね合わせて表示したいってだけなら、冷静に考えてみれば何もデジタルを使う必要はないんじゃないかと思うわけです。

それがどういう意味かと言うと、下で紹介する鏡を使った広告事例の数々を見ていただければがお分かりになると思います。

indivi
▲ ワールドのキャリアブランド「INDIVI(インディヴィ)」が汐留の地下通路で実施した試着型広告「フィッティング・アド」。2006年に開催された第53回カンヌ国際広告祭のメディア部門でブロンズライオンを受賞しています

arkaden
▲ スウェーデンのショッピングモールが街頭で展開した広告。アイデアは上の「フィッティング・アド」と同じ

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▲ こちらも発想として「フィッティング・アド」と一緒。タトゥーショップによるステッカー広告

BreastCancerAwards
▲ 乳ガンの勉強会を告知するステッカー広告。日を追うごとに徐々に女子トイレの鏡に貼られたステッカーのサイズが大きくなっていき、乳ガンの早期発見の重要性を訴えています

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▲ レストランやバー、クラブなどにあるトイレの鏡に貼られた「飲酒運転はあなたを犯罪者にします」と訴えるタクシー会社の広告

coca-cola-light-vending-machine
▲ 「拡張現実(AR)」とは方向性が異なりますが、こちらも鏡を使った広告事例。自動販売機に湾曲させた特殊な鏡が巻かれていて、前に立ったときに実際よりも細く映るという仕掛け。コカコーラの低カロリー商品「コカコーラ・ライト」の広告です

今後しばらくは「拡張現実(AR)」を使った広告は目新しくて話題になりやすいでしょうからパブリシティ効果狙いで各社取り組んでいくのでしょうが、結局それってあまり意味があることだとは思えないんですよねぇ。

例えば、上の広告のように鏡を使えばできることをわざわざデジタルに置き変えただけなら、単に伝え方が珍しいってだけの話でしかなくって、飽きられたらそれでおしまい。

どうせ技術を使うなら、その技術でしか実現できなかったことをやるべきだと思うし、それはアイデア次第できっといくらでもあるはず。

それに本当のところを言うと、やっぱり「伝え方」の前に「何を伝えるか」「どういう思いで伝えるか」こそが重要なんじゃないかなぁ。

【参考記事】
・Indivi clothing: Fitting advertisement | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/indivi_clothing_fitting_advertisement
・Arkaden: Get fabulous | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/outdoor/arkaden_get_fabulous
・Coca-Cola light: Mirror vending machine | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/cocacola_light_mirror_vending_machine
・Tierney Communications: Lunch & Learn | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/tierney_communications_lunch_learn
・Rikkis taxi & shuttle service: Mirror | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/rikkis_taxi_shuttle_service_mirror
・Dermagraphic Tattoo: Try Before You Buy | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/dermagraphic_tattoo_try_before_you_buy


「現在の広告収入の落ち込みは不況が原因だ」なんて本気で信じてる人は一度『2011年 新聞・テレビ消滅』を読んでみるべし

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このところネットの接続時間を削って意識的に本を読むようにしています。そして、今回紹介する『2011年 新聞・テレビ消滅』も最近読んだ1冊です。

すでにタイトルだけでも内容の想像がつくとは思いますが、元毎日新聞記者であり現在はフリージャーナリストとして活動している著者・佐々木俊尚さんにより、「2011年は、新聞とテレビという二つのマスメディアにとっては墓碑銘を打ち立てられる年となる」という、かなり辛辣な論旨が展開されています。

マスメディアで働いている人にとっては、この本は間違いなく読んでいて心地いいものではないでしょうし反感を抱く部分もあるはず。しかし、それでもあえて読んでみるべき価値がある1冊だと思います。

なぜなら、この本を読めばかなり鈍感な人でも現在のマスメディアの崩壊が決して不況によって引き起こされた問題ではなく、以下のような構造的問題によって引き起こされていることが理解できるはずです。

・マスメディアの「マス」が消滅し始めていること。
・メディアのプラットフォーム化が進んでいること。

でも、きっと最大の問題はこうした意見を聞き入れて本気で危機感抱かなきゃいけない人たちこそが耳を塞いで聞こうとしていないってことでもあるんでしょうけどね。

ちなみに、この本の中ではマスメディアが崩壊していく主要因として広告収入の減少についても語られていますが、このあたりは広告業界で働く人や企業の広報・宣伝担当者にとっても参考になるものがあると思います(とくにP.57~64あたり)。

結局のところ、この本を読めばわかるように、いまのマスメディアや広告業界が抱えている問題は現在の広告費の落ち込みは景気循環的な問題であって、景気さえ上向けばまた広告市場にドバっとお金が流れ込んで、旧来からの既得権益でビジネスが成り立つって考えている古いパラダイムの人たちがたくさんいるってことなんですよね。

そういう意味では、マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏がカンヌ国際広告祭で語った「広告業界は不況ではなく、低いレベルに“リセット”されたのだ」という発言こそがこれからの広告ビジネスを見る上での正しい認識なんだと思います。

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「マイケルありがとう。そして、これからも天国で歌い踊り続けてくれよ」。そんなメッセージが感じられるMTVの追悼広告

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今回紹介するのは、MTVが今年6月に急逝したマイケル・ジャクソンのためにドイツで展開した追悼広告です(もしかしたら追悼番組の告知広告かもしれませんが、放送日時がないのでおそらく追悼目的?)。

BlackRibbon_MTV_MJ

他の企業が同じことをしたら有名人の死に便乗した宣伝行為とも受け取られかねませんが、生前のマイケルとMTVの切っても切り離せない関係があればこそ、これはこれで個人的には許される気がします。

MTVによって“KING OF POP”と呼ばれるに至ったマイケル・ジャクソンと、マイケル・ジャクソンによってケーブルテレビの音楽専門チャンネルとして大成功を遂げたMTV。あまりにも有名な1995年の「MTV Music Awards」での伝説のパフォーマンスが思い出されます。

【参考記事】
・MTV Networks: Black Ribbon Michael Jackson | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/mtv_networks_black_ribbon_michael_jackson


バーコードを使ってハンバーガーやポテトを表現したマクドナルドの広告

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ドイツで展開されたバーコードを使ったグラフィック広告。海外のマクドナルドの広告としては珍しく価格訴求メインの広告になっています。

McD_Barcode_BigMac
▲ ビッグマック

McD_Barcode_Cheeseburger
▲ チーズバーガー

McD_Barcode_FrenchFries
▲ フライドポテト

うーん、おもしろいんですが、これって2006年カンヌ国際広告祭でチタニウムライオンを受賞した「デザインバーコード」のアイデアを露骨にパクってますよね?

design_barcode

まさか知らずにアイデアがカブったわけはないでしょうし。

ところで、今回この広告を紹介するにあたって、「デザインバーコード」を世に送り出したデザインバーコード社のWebサイトを初めて見てみたんですが、企業理念が旧体質の広告業界に対するパンチの効いたアンチテーゼになっていて、なんともファンキー!

・BIG IDEAS ARE SMALL, DESIGN BARCODE. デザインバーコード
http://www.d-barcode.com/

企業理念 :
クライアントにコネのあるバカ息子を1人雇うぐらいなら、プレゼンボードを1万枚買った方がましだ。/Thanks for the prize. Next time we are going for Grammy!/広告をみているヒマがあったら、フジロックに行きたいし、知らない娘とセックスしたり、ニンテンドーDSに夢中になりたい。そんな時代に、お金を払ってでも見たくなる広告を。/募集職種を探りにくるのではなく、うちに何が足りないか聞かせてくれ。そこをあなたが埋めればいい。/最強のメディアは、テレビでも新聞でもなく、人間だ。/広告の競合は、他社の広告ではない。広告がこれから戦う本当の相手は、他のエンターテイメントだ。/詩やコピーは翻訳すると消えてしまう。アイデアは翻訳しても消えない。/ビッグアイデアは、小さい。/莫大な広告費を使って、消費者の心をつかみたいなら、消費者一人一人に、その金を配ればいい。/広告を人気者に。/

一見おふざけのようですが、ひとつひとつ読んでいくと鋭く核心を突いている内容です。特に以下の部分なんて意外と広告業界に身を置く人間でも気づいていない人が多いのでは?

・最強のメディアは、テレビでも新聞でもなく、人間だ。
・広告の競合は、他社の広告ではない。広告がこれから戦う本当の相手は、他のエンターテイメントだ。

【参考記事】
・McDonald’s: Barcode BigMac | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/mcdonalds_barcode_bigmac
・McDonald’s: Barcode Cheeseburger | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/mcdonalds_barcode_cheeseburger
・McDonald’s: Barcode French Fries | Ads of the World
http://adsoftheworld.com/media/print/mcdonalds_barcode_french_fries


『戦争広告代理店』を読んで、PRのプロフェッショナルとは何なのかを考えさせられた

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最近、ブログやTwitterで『戦争広告代理店』というタイトルの本が話題になっているのを何度か見かけたので、気になってさっそく読んでみました。

結論から言って、これは広告業界やPR業界、そしてメディア業界で働く人たちにとっては必読の書だと思います。

話の内容はボスニア紛争においてPR会社がどのような役割を果たしたかという相当ヘビーな内容ですが、意外と引き込まれてサクサク読めてしまいます(この本のタイトルは『戦争広告代理店』ですが、正確には広告代理店の話ではなくPR会社のお話です)。

なので、とくにこれから書店を賑わしている戦略PR系の本を読もうとしている人などは、おそらくそちらに取り掛かる前にまずはこの本をお読みになった方がいいはず。

というのも、私は常々プロの重要な資質として、他人がその人の仕事ぶりを見て、どれだけ「あぁ、この人のマネは自分には到底不可能だな」と思わせるような圧倒的な力量の違いを見せつけられるかどうかにあると思っているのですが、この本に登場するジム・ハーフというPRマンはそういう意味ではまさしくプロフェッショナル。本を読みながら、「あぁ、この人のマネは自分には到底不可能だな」と何度思わされたことか。

小手先の技法を学ぶ前にまずはその道のプロの仕事ぶりを通じて、仕事への取り組み姿勢や考え方を大きなフレームで学んでおくことは後々技術(手法)を学ぶ上でも必ずや役に立つことだと思います。

ところで、本書において私が一番印象に残っているのが、あとがきに記されている以下の部分。

 本書は、アメリカのPR企業が「情報」という武器を使って戦争の行方さえも左右している国際政治の現実を描いている。ここで取り上げた「情報戦争」は現在の日本の外交、内政、あるいはビジネスの現場でも毎日起きていると言ってよい。それはほとんどの場合、もし本書の主人公であるPRプロフェッショナル、ジム・ハーフがいたなら、このような最悪の事態は訪れなかっただろう、という意味合いにおいてである。
 たとえば、輸入牛肉を国産牛肉と偽った事件で解散に追い込まれた食品会社や、大規模なシステムトラブルをおこした大手銀行などの場合、日頃からのPRの努力、そして不祥事発生時の危機管理PRの両面であまりにも無策だった。また、昨今の政府機関、とくに外務省の状況はもっとひどい。問題が起きるたびに後手に回るスピードの遅さ、すぐばれる嘘をついて自らのイメージを悪化させる隠蔽体質、さらには見え透いた情報リークで気に入らない者を窮地に陥れる幼稚なやり方など、およそPR戦略というものが存在しない。アメリカ国務省やホワイトハウスが、しばしば民間のPR企業から優秀な人材を引き抜いて幹部に何人も起用するなど、万全の態勢で情報戦に備えているのと比較すると、その違いはあまりに大きい。
 日本社会では、こうしたPR戦略の意識は未熟だ。それは逆に本書に書いたPRの技術や考え方を駆使すれば、周囲に対して非常に大きなアドバンテージを得られることを意味している。

そういえば、つい先月もPRの重要性を熟知しているはずのTBSの広報さんが、危機管理PRの場面で耳を疑いたくなるコメントをしたばかり。

・社員逮捕のTBS 「誰がいつ逮捕されてもおかしくない現場だった」は本当か - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091113/crm0911131208018-n1.htm

 英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=死体遺棄事件で逮捕された市橋達也容疑者(30)の送検中に警察官を突き飛ばし、けがをさせたとして、TBS社員(30)が公務執行妨害の現行犯で逮捕された事件で、TBS広報部は13日、「取材中に起きたことで、今は事実関係を調査中」とした上で、「混乱した中で、報道陣の誰がいつ逮捕されてもおかしくない現場だった」と釈明した。
 だが、現場の本紙記者やカメラマンによると、送検現場は警察、報道陣双方とも冷静で、突撃取材をしなければならないような状況ではなかったという。

日本ではメディア側の企業でさえも危機管理PRはこんな状況なわけで、まだまだPRというものへの認識が甘いと言わざるを得ませんね。

そして、「あぁ、この人のマネは自分には到底不可能だな」と思わせてくれるようなPRのプロフェッショナルも残念ながらそれほど多く存在していないような気がしています。

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