『戦争広告代理店』を読んで、PRのプロフェッショナルとは何なのかを考えさせられた

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最近、ブログやTwitterで『戦争広告代理店』というタイトルの本が話題になっているのを何度か見かけたので、気になってさっそく読んでみました。

結論から言って、これは広告業界やPR業界、そしてメディア業界で働く人たちにとっては必読の書だと思います。

話の内容はボスニア紛争においてPR会社がどのような役割を果たしたかという相当ヘビーな内容ですが、意外と引き込まれてサクサク読めてしまいます(この本のタイトルは『戦争広告代理店』ですが、正確には広告代理店の話ではなくPR会社のお話です)。

なので、とくにこれから書店を賑わしている戦略PR系の本を読もうとしている人などは、おそらくそちらに取り掛かる前にまずはこの本をお読みになった方がいいはず。

というのも、私は常々プロの重要な資質として、他人がその人の仕事ぶりを見て、どれだけ「あぁ、この人のマネは自分には到底不可能だな」と思わせるような圧倒的な力量の違いを見せつけられるかどうかにあると思っているのですが、この本に登場するジム・ハーフというPRマンはそういう意味ではまさしくプロフェッショナル。本を読みながら、「あぁ、この人のマネは自分には到底不可能だな」と何度思わされたことか。

小手先の技法を学ぶ前にまずはその道のプロの仕事ぶりを通じて、仕事への取り組み姿勢や考え方を大きなフレームで学んでおくことは後々技術(手法)を学ぶ上でも必ずや役に立つことだと思います。

ところで、本書において私が一番印象に残っているのが、あとがきに記されている以下の部分。

 本書は、アメリカのPR企業が「情報」という武器を使って戦争の行方さえも左右している国際政治の現実を描いている。ここで取り上げた「情報戦争」は現在の日本の外交、内政、あるいはビジネスの現場でも毎日起きていると言ってよい。それはほとんどの場合、もし本書の主人公であるPRプロフェッショナル、ジム・ハーフがいたなら、このような最悪の事態は訪れなかっただろう、という意味合いにおいてである。
 たとえば、輸入牛肉を国産牛肉と偽った事件で解散に追い込まれた食品会社や、大規模なシステムトラブルをおこした大手銀行などの場合、日頃からのPRの努力、そして不祥事発生時の危機管理PRの両面であまりにも無策だった。また、昨今の政府機関、とくに外務省の状況はもっとひどい。問題が起きるたびに後手に回るスピードの遅さ、すぐばれる嘘をついて自らのイメージを悪化させる隠蔽体質、さらには見え透いた情報リークで気に入らない者を窮地に陥れる幼稚なやり方など、およそPR戦略というものが存在しない。アメリカ国務省やホワイトハウスが、しばしば民間のPR企業から優秀な人材を引き抜いて幹部に何人も起用するなど、万全の態勢で情報戦に備えているのと比較すると、その違いはあまりに大きい。
 日本社会では、こうしたPR戦略の意識は未熟だ。それは逆に本書に書いたPRの技術や考え方を駆使すれば、周囲に対して非常に大きなアドバンテージを得られることを意味している。

そういえば、つい先月もPRの重要性を熟知しているはずのTBSの広報さんが、危機管理PRの場面で耳を疑いたくなるコメントをしたばかり。

・社員逮捕のTBS 「誰がいつ逮捕されてもおかしくない現場だった」は本当か - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091113/crm0911131208018-n1.htm

 英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=死体遺棄事件で逮捕された市橋達也容疑者(30)の送検中に警察官を突き飛ばし、けがをさせたとして、TBS社員(30)が公務執行妨害の現行犯で逮捕された事件で、TBS広報部は13日、「取材中に起きたことで、今は事実関係を調査中」とした上で、「混乱した中で、報道陣の誰がいつ逮捕されてもおかしくない現場だった」と釈明した。
 だが、現場の本紙記者やカメラマンによると、送検現場は警察、報道陣双方とも冷静で、突撃取材をしなければならないような状況ではなかったという。

日本ではメディア側の企業でさえも危機管理PRはこんな状況なわけで、まだまだPRというものへの認識が甘いと言わざるを得ませんね。

そして、「あぁ、この人のマネは自分には到底不可能だな」と思わせてくれるようなPRのプロフェッショナルも残念ながらそれほど多く存在していないような気がしています。

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