今回紹介するスバルのCMは広告としてではなく、あくまで映像作品としての紹介になります。
というのも、このCMは個人的には広告としてはあまり良いクリエイティブだと感じていないからです。
ともあれ、作品としてはとても素晴らしい出来映えだと思うので、まずは楽しんでご覧ください。
で、ここからが本題です(広告に興味のない方は以下は読まなくても差し支えありません)。
実はこのCM、昨日の朝ネット上で見かけて「Twitter」で真っ先に紹介したら、3人の方から「おもしろい!」という反応をいただきました。
そこで反応をくださった方々に「スバルのCM、皆さんは高く評価されますか? ボク的には作品としては評価するけど、広告としては駄作だと感じています。もしよろしければ、後学のため皆さんのご意見を聞かせていただけると幸いです。」と素直に問いかけてみました。
すると、以下のような答えが返ってきました。
@min_underthesun スバルCM。確かに見入ってしまいましたが「何が言いたいんだろう?」と思いました。「こんなことするのはいったいどこなんだ?」「あスバルなのか。へー」という驚きはありましたが、それがブランドへの何に結びついたかというと・・・??です。でも映像としては楽しくて好きだし、うーん・・・
@tacrooow スバルのCM、映画館で上映できるレベルと思います。映画のインパクトにかき消されるか否かの瀬戸際かもですが、大画面も手伝って印象に残りそう。つまりショートフィルム的に面白いですが、確かに広告的にはイミフかと!
@Capote 作品としては面白いと思いますが、伝えたいメッセージがスバルのラリーなイメージと違うので、逆にそこが狙いで続きがあるなら可かと
調査人数は少ないですし調査対象に偏りはあるのですが、この答えを聞いてちょっと安心しました。もしかしたら自分の感覚だけがおかしいのかなぁ、と少しばかり不安だったもので。。。
CMをご覧いただけばわかる通り、なにしろこのCMはエキストラの数は半端な数じゃないし映像的なインパクトもあって作品としては間違いなく秀作。でも、個人的にはこりゃ広告としてどうなんだろうって思ったわけです。
なぜなら、まず広告としてメッセージがいまひとつ伝わりづらい。
おそらく「スバルの車が走るのに、これだけたくさんの人が関わっています」ってことを伝えたいのかとも考えましたが、だとしたらそれはスバルの車に限った話ではないし、そもそもそんなメッセージなんて説教くさいだけ。それに、これだけお金をかけて作った割に商品である車よりCMの映像だけが際立ってしまっている。
このところつくづく感じるんですが、こういう広告ってどうも苦手なんです。
クライアントの商品を売り込もうとせずに、広告それ自体を売り込もうとしているんじゃないかという違和感を抱かせる広告。
昔、雑誌の編集をやっていたから感じることなんですが、広告の仕事は非常に特殊な仕事だと感じていて、同じモノづくりでも雑誌のように制作物自体が売り物になる仕事じゃなく、売り物を売るためのモノを作る仕事。他にそんなモノづくりの仕事って世の中を見回しても絶対にありません。
だけど、時にはこうして売り物よりも目立ってしまう制作物を見かけてしまう。なんだかそのあたりで「売り物を作る仕事」と「売り物を売るためのモノを作る仕事」の違いが曖昧な人たちがいるなぁ、って気になってしまいます。
あたりまえな話ですが、あくまでは広告はそれ自体が話題になるかどうかよりも、クライアントのビジネスにきちんと貢献できるものかどうかが重要だと思うんですよね。
もちろん100点満点の正解なんて誰にもわからないから、「いや、オレはこのスバルのCMは広告としても良い出来だと思うぞ」って人もいて構わないんですが、良い広告とは何かを考える際には、良い教材になるんではないかと思って今回はこのCMを取り上げた次第です。
ちなみに、「いや、それは違うよ、こういう考え方もあるよ」というご意見があれば、優しくコメント欄などで指摘していただければ幸いです。
【参考記事】
・Subaru : Crowd Rider (All 4 The Driver) | scaryideas.com
http://www.scaryideas.com/content/14473/
- 『YouTube時代の大統領選挙』出版記念イベントに参加して、筆者の大柴さんに質問させていただきました
- これぞ『使ってもらえる広告』。ベネトンが提供するケータイ向けTwitterサービス
- サスペンスドラマの過剰演出を皮肉ったTOTOの節水トイレのCMが好きかも
- 今朝の日本経済新聞でアサヒビールの全面広告とビール系飲料出荷量シェアの記事がなんともバツの悪いことになっている件
- Twitterの広告名言集BOTを作ってみました(いや、作ったってほどじゃないけど)
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[…] By tacrow もう、だいぶ以前の話になりますが、 広告系アルファブロガーの則天去私さんに […]

市川伸一(

毎度お邪魔します。
基本的にSousekiさんに賛同します。
とはいえ釈迦に説法ですが、このCMがオンエアされた国・文化圏でのスバルブランドの置かれた状況が分からなければどうこう言いにくい、と思いました。仮に「Techno Japan」などとも呼ばれるような非人間的なパーセプションをスバルブランドが引き摺っているならば、珍しく和語ブランドのスバルが「訳のわからない言葉」としてしか理解されていないならば、また、CM全般について「買って下さい」「うちの商品はこんなにいいですよ」以外のメッセージでなければ評価されないような文化圏ならば、等と考えれば、(おそらくこの手の会話がプレゼンの会議室でも多少は触れられたように推定しますが)「あり」なのかもしれない、とは思います。
Posted at 2009.11.12 17:09:20 by yutakami
ブログでは初めましてのishizueです。
僕は皆さんのように広告に関わっているわけではなく、製造業で品質管理の仕事をしていたたんなる広告ファンです。
その一般人の感覚をあえてプロの皆さんに言うと、僕ら普通の視聴者は広告には「商品の存在や良さを知らせる為の広告」と「企業イメージをアップさせる為の広告」があると認識しています。
この認識があってるか間違ってるかは解りませんが、一般人の広告に対する認識はそんなもんですww
このCMをtwitterで観た時の感想を言えば「スバルのイメージアップをする為に作った広告なんだろうな」と思いましたし、それは成功しているんじゃないかとも思いました。
twitterではみなさん「広告としては微妙」というような意見でしたけど、この一般人の感覚で言えば「そんなことないんじゃないかなぁ」と思うわけです。
なんか、生意気だな、俺・・・。
僕の地元はスバルのお膝元なんで「スバル」に対する愛着は多少ありますけど、普通の人のスバルに対する情報量なんて少ないですよね?
「スバル」と聞いて「ラリー」って出てくる人は相当な車ファンだし。
その微妙なスバルの立ち位置を少しでも良くする為にはこういう広告を作るのは良い事だと、スバルのお膝元で育った広告素人は思ったわけです。
直近の利益を求めるだけでなく、ブランドのイメージアップにもお金を使うの良いじゃないか、と。
この感覚、広告のプロからするとおかしいですか?
ただ、広告ファンとして残念なのはこういう面白いものが海外で作られた事です。
ソニーにしてもホンダにしてもそうなんですけど「日本のメーカーなんだから面白い広告も日本で作ってよ!」みたいなww
生意気なようですけど、一般人の意見を書いてみました、すみません。
Posted at 2009.11.12 19:05:15 by 礎
yutakamiさん
いつもありがとうございます。
>このCMがオンエアされた国・文化圏でのスバルブランドの置かれた状況が分からなければ
>どうこう言いにくい、と思いました。
上で書いていることと矛盾しますが、その通りだと思います。
そもそも海外だけでなく国内の広告でも外の人間からはその広告の真のマーケティングゴール(クライアントと広告会社の成果目標)なんて見えないので、本当はどの広告についてもどうこう言えた義理じゃないというのはありますよね。
基本、すべては推論でしかありませんから。
ですが、広告業界の中からたまに「CMはゴージャスであるべきだ」とか「あのCMは広告賞を狙って作ったんだよ」なんて話が聞こえてくると、こいつら本当にクライアントのことを考えてやってんのか、その自己満足のためにクライアントのスタッフがどれだけ苦労して広告費を稼いできたのか知ってるのかって思うことがあって、問題定義の意味でもちょっと槍玉に挙げさせていただきました(正直、海外のCMだったので言い易かったというのもありますw 確信犯です)。
広告マンは少しでも自分の心の中に良い作品を作ろうっていう思いが生まれたら、「いや、僕らが作るモノは作品じゃなくて広告だよ。じゃあ、これがいったい本当にクライアントのビジネスに貢献するベストな広告になっているのか?」という自問自答は忘れちゃいけないと思うんですよね(エラソーですいません)。
いずれにしろ、こうして異なる意見をいただけることを半ば期待して書いた記事だったので、貴重なご意見をいただけたことに感謝です!
Posted at 2009.11.12 19:59:32 by Souseki
ishizueさん
長文のコメントありがとうございます。
それに、広告ってそもそも業界の中の人向けじゃなく外の人向けに作られているものなので、外の人の意見の方がよっぽど貴重です。ありがとうございます。
ところで、私は人様に広告とは何かを説けるような偉い人間ではないので少々気が引けるのですが、広告には大きく分けて「商品の存在や良さを知らせる為の広告」と「企業イメージをアップさせる為の広告」があるという認識は、さほど間違ってはいないと思います(個人的には「商品を直近で買ってもらうためのコンバージョン追求型の広告」と「企業や商品の認知度向上やイメージアップを図るブランディング型広告」と認識していますが。間違っていたらゴメンナサイ)。
それから、直近の利益を求めるだけでなくブランドのイメージアップにもお金を使うのは良いことだという意見にも賛成です。逆に今のような不景気になると、近視眼的に目先の利益ばかりに目が行ってしまって、10年後、20年後の利益をどう生み出すかを考える余裕がなくなるのは企業の存続において危険なことですしね。
ただし思うのは、「企業のイメージアップは重要かもしれないけど、じゃあそれがなぜいいことなのか? その結果どうなるのか?」と1歩突っ込んだ視点で見る必要もある気がしています。
広告によって企業のイメージアップが成功したとしても、それが結果的に短期・長期関わらず利益に結び付かなければ企業にとっては無駄金になってしまいます。そこで重要なのが企業に対する好感イメージの強度だと思うんです。
それは見た人が「何となく好き」ってレベルではなく、すぐにその会社の商品を買うほどではなくても、「スバルって良い会社だよね」と周りに言いふらしてくれる(周囲の人の購買行動に影響を与えてくれる)とか、「将来的にはスバルの車に乗ってみたいなぁ」というレベルにまで持っていくことが重要だと考えます。
そういう意味では、個人的にはあのCM1本ではスバルにそこまで深い好感は抱いてもらえないのではないか、と思うのですよ。それに、最後のロゴだけではうまくスバルという企業が印象付けられていないような気もしますし。
例えばCM好感度調査で1位になったとしても、「で、そのCMってどこが流していたか知ってます?」と聞いてみて、「あれ、どこだっけ? CMの内容や出演者は覚えているけど、企業名まではわからないな」じゃ話になりません。
それに、何より広告が企業活動である以上、そこには費用対効果も考える必要があります。
あれだけ大掛かりなCMを作って掛かったコストとそこから得られる効果はどれぐらいなのか、仮にもっと低予算でできるCMでそれ以上の効果は得られなかったのか、いやむしろそれだけのコストを使うんだったらそもそもCMである必要があったのか、各地でのイベントやノベルティグッズの配布など、もっと違うアプローチの仕方があったのではないか、と感じてしまいました。
もちろんこれは私の勝手な意見ですから、違う意見もあって当然です。
今後もいろんな意見を吸収したいので、普通に広告を見ている人の声として、ishizueさんにも気軽にご意見いただけると幸いです。
Posted at 2009.11.13 13:15:54 by Souseki
僕は全く単純な意見です。
どんな効果を狙ったのかわかりませんし、
存在を知らせたいのか、
イメージUPを狙ったのかわかりません。
ただ僕はCMというのは、
「人の頭の中に何かを浮かばせたら成功」
だと僕は思います。
このCMは成功するでしょう。
少なくともこの映像を取り上げた方、コメントをした方、
僕も含めて、「スバル」という存在が頭に残りました。
Posted at 2009.11.13 15:05:23 by 96
こんにちは。初めてコメントさせていただきます。
私は広告業界の人間でもなんでもない、一グラフィックと言葉遊びを愛するしがない学生です。
ご指摘のとおり、商品より広告自体あるいは出演タレントを売ろうとしているものって昔からありますよね。
化粧品のCMでもないのにやたら女性タレントの眼力をフィーチャーしていたり、全く関連のないグラフィックコンセプトを当てはめていたり。
一昔前、エンクミ出演の「エンドウさんのメンドウ見ます。」というガソリンスタンドのCMに疑問を抱いていました。「遠藤さん以外の人の面倒は見てくれないの?」「語呂合わせりゃいいってもんじゃないだろう」と。
最近ではソフトバンクのSMAPのCM。なんとあのSMAPがのりかえました!ってことなんでしょうけど、だから?って思います。
ここまで読んでいただいて分かるとおり、結構広告に対してはひねくれた捉え方をすることがあるんですが、件のスバルのCMに関しては、Sousekiさんのように説教臭さは感じませんでした。むしろ自社の社員を卑下し過ぎというか、奴隷船のようなイメージは弱冠ありますが、特に悪印象は感じませんでした。
ただ、消費者の私にとってこのCMはかなりラグジュアリーなイメージなんですが、悲しいかな、スバルとラグジュアリーが一向に結びつきません。まあ、スバル≠ラグジュアリーという私の認識が合っているのかは分かりませんが。
最終的なこのCMに対する感想は一言、「ミスマッチである」ということです。他のメーカーだったらよかったのかも分かりません。
以上、素人からの意見を述べさせていただきました。これからも楽しみにしています!
Posted at 2009.11.13 16:01:19 by Nishimura
96さん
Nishimuraさん
コメントありがとうございます。
しかも、長文だったのでかなりのお時間を割かれたのではないかと思います。
私からは一通り言いたいことは言い切った感じなので、こうして異なる意見をいただけたことに心より感謝申し上げます。
正解がないことだけになかなか難しいのですが、こうしてさまざまな意見に触れることで私自身とても勉強になります。
それにしても、広告業界の方だけではなく、それ以外の方にこれだけご意見をいただけたことは嬉しい限りです。
その分、広告業界の中からの意見が少ないのがなんとも残念なのですが(アクセスデータを見ると、かなりの数の人たちが見ているようなのに。。。)。
Posted at 2009.11.13 20:28:54 by Souseki