ネット上では日米首脳会談よりも話題になっているのではないかという「鳩山・さとなお会談@恵比寿」ですが(笑)、当のご本人である電通クリエーティブディレクターの佐藤尚之さんがそのようすをブログで詳しく報告してくれています。
・www.さとなお.com(さなメモ): 鳩山首相とご飯した
http://www.satonao.com/archives/2009/09/post_2718.html
昨晩、ひょんなことから鳩山首相とご飯を食べた。
…(中略)…
ちなみに先にお伝えしておくと、お会いしたのはボクの会社の関係でもなんでもなく、仕事の話でもなんでもなく、本当に「いちブロガーとして」友人に紹介されたからである。首相がたまにボクのこのさなメモを読んでくださってるらしいこと、そしてその結果として映画「サマーウォーズ」を観たらしいことなどが重なってのお誘いであった。
…(中略)…
商店街(というか飲み屋街)を少し歩いていて、「さいき」に行く前に少しだけ「縄のれん」という店にお連れすることにした。完璧にアドリブだったので、SPの方とか焦ったかもしれない。ごめんなさい。でもなんとなくこんな店も知ってもらいたかったので。
「縄のれん」は立ち飲みの名店。名物のハイボールとおいしい肉料理の数々。まぁ店内のお客さんとすぐに記念撮影大会になってしまって首相はあまり味わえなかったかもしれないが、レバーステーキやハラミステーキ、肉刺し、もつ煮込みなんかを食べてもらえた。で、15分ほどそこにいて、予約していた「さいき」へ移動。
…(中略)…
みんなネクタイはずしてビールから焼酎へ。料理もどんどん食べる。この店の揚げ物はおいしいな。アジフライとかカニクリームコロッケとか、他に刺身やぬたやサンマの塩焼きやトマトなんかを食べながら、いろんな話を。
まずは松井孝典さんが火星儀を持ち出して火星の話をし、いきなり場が浮世離れした(笑)。
…(中略)…
ネット選挙のこととか、記者クラブ開放のこととか、その他もろもろお伝えしたいことはたくさんある(少しはお伝えした)。でも、いちブロガーとして紹介されたのであるならば、とりあえずソーシャルメディアの現状だけはお伝えしたいと思った。マスメディアのフィルターを通さない別の「つながり」を少しでも理解してもらいたいと。トップダウンからボトムアップへと変わってきたこの世界的な流れを理解しないと、少なくとも10代20代30代の肌感覚は理解できないし、次世代に対する政策も的を射ないと思ったから。
…(中略)…
鳩山さんは Twitter 自体を知らなかったようだけど、とても素直に耳を傾けてくれた(どんな話題にも辛抱強く丁寧に相手の目を見て耳を傾ける人だった)。でもまぁなんというか、Twitter を理解してもらうことの難しさよ(笑)
書き込む姿を見てもらったり、ボクの実況へのみなさんの返信をパソコン画面で見てもらったり(熱心に読んでくれた)、いろいろしているうちにかなり興味はもっていただけた模様。殺し文句は「オバマも使っています!」(笑)。始めてくれるかどうかは全くわからないが、スタートラインには立ってくれたようである。閉じた世界が急にオープンになるのは無理だろう。まずは第一歩。少しずつ。少しずつ。
…(中略)…
その後、映画「サマーウォーズ」の話も出た。ああいう名作について語り合えるのはうれしいね(いま民主党有志の課題映画になっているらしい)。でも映画の後にモスバーガーに行ったのは庶民的な部分をアピールしすぎではないですか、と、ちょっとイジワルに聞いたら「いや、昔からファンで、もう20年通ってるんです。だって映画終わったのが9時すぎだし、あまり他に店が開いてないでしょ」だって。なるほど。で、その後ちょっとだけモスバーガーのメニューの話に(笑)
…(中略)…
電車の中、そして家で Twitter を確認したけど、ボクが予想した以上に大騒ぎになっていて(みんなが喜んでいて)少し焦ると同時にちょっと感動した。それだけみんな、国のリーダーの「血が通っている生身」を知りたいということ(マスコミが暴く姿みたいのではなく)。同じ時間に同じ人間として「つながっている」感覚を持ちたいということ。この切望感にオバマは気づいている。鳩山さんにも気づいてほしい。また機会があったらしつこくお伝えてしてみよう。
…(後略)
この記事を読んであらためて感じるのは一次情報の強み。
自分の目で見て、耳で聞いて、肌で触れた情報のアウトプットはどんなささいな情報でも二次情報に勝る魅力があるということ。
では、一方でマスメディアがこの事実をどのように伝えたかと言うと、たとえば新聞(朝日新聞)だと「首相動静」にわずか数行の記載があるだけ。

6時47分、東京・恵比寿西の立ち飲み屋「縄のれん」。松井官房副長官、電通の佐藤尚之クリエーティブディレクターと懇談。7時5分、東京・恵比寿西の居酒屋「さいき」。松井、佐藤両氏と会食。33分、仙谷氏加わる。8時34分、鈴木寛文科副大臣加わる。55分、松本剛明衆院議員運営委員長加わる。9時14分、松井、佐藤、仙谷、鈴木各氏残る。
また、件(くだん)の火星儀についても、かなり事実が捻じ曲げられて報じられています。
「宇宙人」らしい? 火星儀にご満悦
「これわかる?」。鳩山由紀夫首相が29日夜、東京・恵比寿の居酒屋で松井孝治官房副長官らと会談後、店の前で球状のものを見せ、記者団にこう問いかけた。
記者団が「何ですか」と応えると、首相は「火星儀だよ。火星には水があるんですよ。生物がいるんじゃないか」とごきげん。「政治を科学する」など奇抜な発言から「宇宙人」とも呼ばれる首相。火星儀は会食の同席者から贈られたとみられ、宇宙談義に花を咲かせたようだ。
正直、さきほどの「さなメモ」の記事と読み比べてしまうと、「日本の新聞記者の見識や取材力ってこの程度かよ」と言わざるを得ません。
もちろん、新聞記者たちはその場にいたわけではないので、圧倒的にその場にいた佐藤さんの方が有利なのは事実。
ただし、それをきちんと掘り下げられないこと、そしてその出来事が本来どのような意味をもっているかを感じ取れない感度の鈍さが日本の新聞報道の決定的な弱みであると感じてしまいました。
学生時代に新聞社でアルバイトをさせてもらい、多くの記者さんから物事の考え方の基礎を教えてもらった私なので、無分別に日本の新聞なんてゴミでしかない、早く新聞社なんて潰れてしまえばいいとは言いたくないのですが、このままの新聞であれば読む価値なんてほとんどない。
かねてから感じていたことですが、日本の新聞は情報の新規性(速報性)とスクープ性を重視しすぎる傾向にあります。
しかし、速報性で言ったら日に2回しか発行されない新聞なんてテレビやインターネットの足元にも及ばないわけで、そんなものに読者は多くの期待を寄せていない。
スクープ性にしたって、業界内で「抜いた抜かれた」と騒いでいるだけで、読者にとってはどうでもいいこと。
たとえば、地下鉄サリン事件がオウム真理教の犯行だと最初に報じたのはどこの新聞かなんて読者は誰も覚えていないし、それをもってその新聞を評価したりもしない(読売新聞のスクープです。念のため)。
逆にそんな業界内でしか通用しない「抜いた抜かれた」の下らない名誉のために、松本サリン事件の河野義行さんのように、不要な嫌疑や冤罪を巻き起こしてしまったケースさえある。
新聞が行なうべきは「ジャーナリズム」であって、そんな「センセーショナリズム」ではないし、見つめるべきは業界内の目ではなく読者の目であるはず。
そして、新聞に報じて欲しいのはきちんとした調査報道。起きた出来事のウラに本当はどんなことがあり、どんな意味があるのか。首相が漢字を読み間違えたとか、宇宙人っぽいとか、そんなことはどうだっていい。もし、そんなことしか報じられないならネットで充分。新聞なんて本当にいらない。
新聞を殺すのはテレビでもなければネットでもない。他ならぬ新聞自身の無価値化にあると気づいて欲しい。
新聞はまだまだ必要なものだと思っているので、ぜひ頑張ってもらいたい。そんな思いでちょっと普段より辛らつな口調になりましたが、これが私からの新聞への心からのエールです。
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