『YouTube時代の大統領選挙』出版記念イベントに参加して、筆者の大柴さんに質問させていただきました

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先週の水曜日(7月1日)、東急エージェンシー本社会議室で行なわれた『YouTube時代の大統領選挙』という本の出版記念イベントに参加させていただきました。

このイベントは、本の筆者でもある大柴ひとみさんによる「『オバマ現象』後のアメリカにおけるコミュニケーションの変化 -最新の米国消費者 オンライン動向およびマーケティング事情-」と題する講演と、大柴さんと聴講者によるインタラクション(質疑応答というより、全員でいろいろ考えましょうという意見交換に近い感じ)がメインの内容。

・ひさみをめぐる冒険
http://www.hisami.com/
・JaM Japan Marketing LLC、日米間のビジネスのFacilitator
http://www.jamjapan.jp/

有名な広告マンやマーケターを中心とした総勢40名以上の情報感度の高いブロガー(私以外)が集まったこのイベントは、会場の熱量もハンパなく、とても刺激的な内容でした。

すでにこのイベントの内容はいくつかのブログで取り上げられていますので、詳しくはそちらをご覧いただきたいのですが(文末の参考記事にまとめました)、私が個人的に印象に残っているのは、講演後の名刺交換の際に個人的にこっそりお伺いした質問に対する大柴さんの回答です。

その貴重なお話を独り占めするのも気が引けるので、その質疑応答の内容をここで公開させていただきます。

Souseki「今日伺った話で、オバマ陣営が大統領選挙でソーシャルメディアをいかに上手に活用してクチコミ(Word Of Mouth)を起こしたかがわかりましたが、講演の中でも大柴さんが「The best ad is a good product(最良の広告はまず良い製品であること)」とおっしゃっていたように、オバマが勝った最大の理由はオバマという人間自身の「Product」の良さにあると思います。でも、日本では往々にしてその当たり前のことが見失われていて、いまの時代はクチコミさえ起こせばモノが売れると思われていたり、クチコミは安上がりな広告だという誤った認識があるように感じます。それに、クチコミ商品を売っている広告会社やPR会社の多くが、企業の担当者にクチコミはコントロールできるものだと説明して売っています。実際には、100%コントロールなんてできるはずがないのに。。。そこでお聞きしたいのは、こうした日本の状況に対して、米国ではこうした誤解は発生していないのか? またそうした問題を乗り越えているとしたら、それはどのようにして乗り越えたのでしょうか?」

大柴さん「アメリカではすでに成功例も失敗例も数多くのケーススタディが存在します。企業のマーケターはそこから多くのことを学んで、正しく認識しています。それに、企業のマーケターにとってマーケティングの成否は自身の死活問題に直結するので、広告会社がいい加減なことを言っていても、それを簡単には真に受ける土壌がありません。」

Souseki「日本の場合、企業のマーケターの中には広告会社から出てきた提案をジャッジするのが仕事という人も多くいますが、アメリカの場合は企業のマーケターがもっとプロジェクトの立案時から広告会社と協業して主体的に動くということでしょうか?」

大柴さん「そうですね。待ちの姿勢ではありません。より積極的に参加しています。」

話の内容を伝わりやすくするために多少言葉を追加していますが、当日は概ねこのようなやり取りをさせていただきました。

私がこの話の中で感銘するのは、クチコミが誤解されることの原因は、当然それをミスリードする広告会社やPR会社にあることを認めつつも、一方でそんな絵空事に踊らされる企業のマーケターの不勉強や自己の問題としての問題意識の欠如にもあるとする点です。

広告会社やPR会社がクライアント企業のマーケターを批判することはタブーなので、これまでもこうした議論は日本では公にはなかなか起こりませんでしたが(その逆のパターンや広告会社の人間が同業他社の批判をすることは往々にしてありますが)、ここ最近思うこととして、日本のマーケティングが進化するためには、広告会社だけの問題をクリアするだけではなく、企業側(のマーケター)も変わる必要があるという点です。

オバマキャンペーンの特筆すべき点は、YouTubeやTwitter、SNSといったソーシャルメディアを活用したとか、モバイルで支持者とコミュニケーションを図ったなどという小さなレベルでの話ではなく、大柴さんが講演中に何度か口にしていた「コミュニケーションの民主化というパラダイムシフトを早くから認識して、最も効果的に活用したこと」だと思います。

だとしたら、そのパラダイムシフトを認識し、自らのパラダイムシフトを求められているのは広告会社だけの話ではなく、企業側の話でもあるのではないでしょうか?

個人的にマーケティングとは広告会社が提案を考えて企業がそれをお金を払って購入するという類のものではなく、広告会社と企業が一緒になって考えていくのが理想だと思うので、いかに企業のマーケターがマーケティングの立案にコミットし、その成否を自身の責任として受け止められるかにも掛かっているような気がします。

追記:
『YouTube時代の大統領選挙』を読んだので、その感想も書こうと思いましたが、思いのほか文章が長くなってしまったので、次にアップするエントリーで感想を書きたいと思います。

【参考記事】
・オバマ大統領は「自分でやってる人」[人気低下ブログ]
http://bmidvar.paslog.jp/article/1164138.html
・マーケターから見たオバマ - 「YouTube時代の大統領選挙」出版記念イベント[広報の視点]
http://capote.blog87.fc2.com/blog-entry-396.html
・「第3回JaM Media Session in Tokyo」『オバマ現象』後のアメリカにおけるコミュニケーションの変化twitter発言まとめ[マーケる?]
http://marke.seesaa.net/article/122639323.html
・YouTube時代の大統領選挙 - interactiveに行こう!!
http://simojo.com/interactive/2009/07/youtube-2.html

YouTube 時代の大統領選挙 ( 米国在住マーケターが見た、700日のオバマキャンペーン・ドキュメント) YouTube 時代の大統領選挙 ( 米国在住マーケターが見た、700日のオバマキャンペーン・ドキュメント)
大柴ひさみ

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Comments

その通りですね。
ぼくも著書等で、この悪い流れを止めるには「金を出してる」広告主が変わるしかないと言ってます。まさに根を断つしかないわけで。

愚かな代理店、愚かな媒体は今後もなくならないのだから、それはそれとして受け止めて、そこに関与しないようにするには自らがきちんと勉強して、強く律し続ける必要があります。

と同時に、そういう企業が少しずつ増えてるようにも感じています。

河野さん

ありがとうございます。
企業批判って広告業界ではタブー視されていますし、業界の問題を責任転嫁しているだけとも受け取られかねないので、少々ビクつきながら書いたのですが、河野さんにそう言っていただけると心強いです。

「欠点を指摘し合えるのが本当の友達」という言葉があるように、本来的には早く企業と広告会社がお互いを高めあえるような大人な関係を築けるといいのですが(それが結果的には消費者にとっての利になると思いますし)、「クライアント(お客様)>広告会社(枠売りの業者)」という図式がなかなか崩れない以上、「頼まれてもいないのに、余計なことは言うな」という風潮があって、なかなか難しいなぁと感じています。

でも、河野さんが仰るように、「そういう企業が少しずつ増えてるようにも感じています」というのは肌感覚として確かにそうだと思うので、徐々に変わり始めているのかもしれませんね。

あと、大口をたたいたついでで言わせてもらうと、個人的には企業の担当者の方には値切ることが仕事ではなく、仕事を適正に評価してお金を支払うのが仕事という感覚と、「枠」だけではなく「企画」や「クリエイティブ」にも適正な金額を支払うという感覚を持っていただけると、結果的にはそれが巡り巡って自分たちの利益になるということを理解してもらえればなぁ、なんて思っています。

広告主は(たとえ担当者がサラリーマンであっても)代理店以上に、成果(結果)に敏感なので、勉強する人は増えてると思います。無知なのか確信犯なのかわかんないけど、適当なことを言ってる代理店よりも。
ただまあご指摘の通り、予算取ってくるだけが仕事であとは丸投げしてる担当者や企業もいるので、ここはなんとかなしないと。

ただ、
> 個人的には企業の担当者の方には値切ることが仕事ではなく
これはふっかけてる代理店(そのくせ値下げ交渉には応じまくる代理店)に原因があるわけでしょう。
クルマでも家電でもいくらでも価格交渉ができちゃうと本当の価格がわからなくなりますよね。

企画やクリエイティブにも価値をってのはおっしゃるとおりだと思います。じゃないとぼくの仕事もなくなっちゃうしw

河野さん

たびたびのコメントありがとうございます。

>ただ、
>>個人的には企業の担当者の方には値切ることが仕事ではなく
>これはふっかけてる代理店(そのくせ値下げ交渉には応じまくる代理店)に原因がある
>わけでしょう。
>クルマでも家電でもいくらでも価格交渉ができちゃうと本当の価格がわからなくなりま
>すよね。

はい。心無い広告会社(個人的に代理店って言葉が嫌いなので、あえてこう呼ばせてください)が無茶苦茶なことをやっている点に問題があるのは異論はありません。

私もここでは単に適正価格を広告会社とクライアントがお互いに見定めていくようにした方がいいという趣旨で書かせていただきました。

それは「安ければいい」だけでもなく「高ければいい」というわけでもなく、あくまでも仕事に対する正当な対価が必要という意味です。

なぜなら、前に読んで気になった記事にこんな記事がありました。

[今日の解説]不況が広告報酬制度をコミッションからフィーに移行させるのか[Ad Innovator]
広告主側にとっても、フィーをレビューする人材が必要になったり、フィーを抑えようと
交渉を強く勧めた結果、気がつくと自分のアカウントを担当している広告会社スタッフが
経験の少ない人ばかりになったというような話もある。
欧米でも何が適正な報酬制度かという議論は行われてきたが、しばらく終りがなさそうだ。

日本はまだ完全にフィー制度には移行していませんが、現在でもこれと同じような状況は起きつつあるような気がします、

こうしたことは広告会社だけではなく、広告主にとっても不幸なことだと思います。

安く広告会社を使えれば短期的には広告主にとってはメリットがあるかもしれませんが、それが長期的に見てどういう結果になるかは考えるべき時かな、なんて(これは広告業界だけの話ではなく、今の日本経済全般に言えるのかもしれませんが)。

おっしゃるとおりですね。
ただまあ広告主側に立ってる者の意見としては、
・ミーティングにひとことも発言しないような人がぞろぞろ出てくる(こいつらのぶんまで請求されたらかなわん)
・守秘義務と説明責任の意味もわからずに、都合の悪い情報を隠して買わせようとする
というあたりを改善する、もしくはそういう広告代理店(であり広告会社)をちゃんと排除していけるようにしたいものです。

ブラック広告会社リストとか作れば、いくつ残るのかなあと不安にもなりますが。

河野さん

何度もコメントいただき、ありがとうございます。

>・ミーティングにひとことも発言しないような人がぞろぞろ出てくる(こいつらの
>ぶんまで請求されたらかなわん)

総合系の広告会社で大きい企業を相手にしているケースほど、こういうことってあるような気がします。

ネット系の広告会社は取り扱いのグロスも少ないので、もう少し合理的な気がしますが(あくまでも個人的な感覚です)、でも割と少ない経験則から言わせてもらうと、こういう大名行列をまんざらでもないって感じている担当者がいるのも、「なんだかなぁ」って感じです。

もちろん、それをみんなが喜ぶと思っている広告会社の側の浅はかさが問題なわけですが。。。

>・守秘義務と説明責任の意味もわからずに、都合の悪い情報を隠して買わせようとする

これって広告会社に限らず、ブラック企業全般に言えることですね。

河野さんがブログでおっしゃっていた「ルール違反しないのは当然。その上でマナー違反してないかもちゃんと考える。そういう意識が大切だと思う。」ってことに尽きるのでしょうね(「湾岸ミッドナイト」名言集、結構楽しみにしています)。

・マナー違反はしない | smashmedia
http://smashmedia.jp/blog/2009/07/002926.html

>ブラック広告会社リストとか作れば、いくつ残るのかなあと不安にもなりますが。

うっ! これは確かに。。。
清廉潔白な広告会社ってあるのかなぁ?

正直言って、私もまったくの清廉潔白で仕事をしてきたか、と言えば自信ないし。。。(会社のやり方が間違っていると思っていても、それも公言できずに見過ごしてきたことは何度もあるし)

まあ自分を振り返っても、会社勤めをしながら本当に清廉潔白にやれるかっていうとまずムリで、理想と現実のどこで落としどころを見つけるかってことなんでしょうけど、広告会社も広告主ももう一歩ずつ歩み寄るとか、手の内見せ合うとかしたほうがいいかなと思います。

担当者同士の相性なんてものもあるので、リスト化が絶対に有効だとは思ってないんですが、もうちょっと情報が(成功も失敗も、それこそ担当したチームのスタッフの名前レベルまで)共有されていけばいいなあと思っています。

JaM sessionでのポイントを的確にまとめていただき、ありがとうございます。先週末に米国に帰国して、すっかり雑事に追われて、今頃コメントするという遅さです、スイマセン。また、熱心なディスカッションも読んでさらに感激しています。日米の広告業界をみて、常に実感するのは、日本の場合、広告会社が媒体購入をして、さらに戦略立案・実施展開を行なってしまうという流れがあるために、それが現在の広告業界の動きの鈍さをつくっている、そんな気がします。米国は、Meia Buyingはその専門の会社が行ないますし、日本の広告会社の「メディアプランありき」という姿勢はあまり見られず、革新的でクリエイティブな戦略が提案できるかが勝負で、多くの大手広告会社が、そこでかなりしんどい思いをしてます。米国のCMOの在任期間は、2008年は平均28.4ヶ月(2.4年)と、2006年の23.2ヶ月に比べれば伸びていますが、フォーチュン1000の大企業のCEOは平均6年ということを考えれば、広告主側は自分の首がかかっているので、物凄く真剣になります。前例のある戦略をやろうとすると「前任者が行なったことをやるために、あなたをCMOに雇用したんじゃない」とばっさり言われるのが常の米国では、どの立場の人間も必死に新たな成功例を作るべく、トライアンドエラーをしています。大柴ひさみ

河野さん 大柴さん

コメントありがとうございます。
なんだかお二人のコメントのお陰で、このページの価値が急激に高まったような気がします。

こりゃブログを簡単に閉鎖できないな、と気が引き締まる思いですw

>河野さん

>情報が(成功も失敗も、それこそ担当したチームのスタッフの名前レベルまで)
>共有されていけばいいなあと思っています。

広告主さん側が成功例も失敗例も出したがらないというのはありますから、なかなかハードルの高い問題ですね。

少なくともキャンペーンによるマーケティングゴールとその成果数値だけでも出してくれれば評価のしようがありますが、往々にしてマーケティングゴールも成果数値も見せてくれない場合がほとんどですからね。

外野から見てあのキャンペーンは成功だ失敗だと語っても、見当はずれなことって多いですし。だからこそ、「『UNIQLOCK(ユニクロック)』や『Cam with me』でそこの商品は短期的にどれだけ売れたの?」なんて話にもなるわけで(ユニクロさんやソニーさんの場合、幸いにして情報を比較的オープンにする姿勢があったにも関わらず)。

まぁ、それを成功なのか失敗なのかを判断することは各企業の担当者が個別に見極めるということなのでしょうけど、それもまたミスジャッジが多くなって、難しい問題があるのかなぁなんて。。。

もちろん、広告会社側から見た視点でも、反対する人は多いでしょうね。

と、つらつらと書いてみましたが、これって別に河野さんの意見に反対するわけではなく、情報を共有するためにはクリアすべき課題も多いなぁという実感です。

「それをどうしたら越えられるか、お前も考えろよ!(動けよ!)」ということなのでしょうけど。なかなか難しいです(このところ少々凹みぎみで、ちょっと泣き言っぽくなってしまいました)。

>大柴さん

>米国のCMOの在任期間は、2008年は平均28.4ヶ月(2.4年)と、2006年の23.2ヶ月に
>比べれば伸びていますが、フォーチュン1000の大企業のCEOは平均6年ということを
>考えれば、広告主側は自分の首がかかっているので、物凄く真剣になります。前例
>のある戦略をやろうとすると「前任者が行なったことをやるために、あなたをCMOに
>雇用したんじゃない」とばっさり言われるのが常の米国では、どの立場の人間も
>必死に新たな成功例を作るべく、トライアンドエラーをしています。

以前外資系のマーケターの方と話をしたことがあるのですが、米国企業のケースでは、CMOの職務は基本的に1年契約で売上目標を達成しない場合は翌年契約は解除されるということのようですね。

そりゃ、そういう理由だったら真剣にならざるを得ないですよね。

ただし、それが良いかっていうと話は別で、それがあるために長期的な売上増加よりも短期的な売上増加に目線がシフトしてしまうという点もあると思いますし、「前任者と同じことができない」からこそ、一貫性のある継続的な施策が実施されにくいという弊害もあるのはないでしょうか?

その点、米国ではどのように捉えられているのでしょうか?

もしこのコメント欄をお読みいただければ、ぜひともお教えいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

CMOの重要性を企業が認識し始めた結果が、平均在任期間の伸びにつながっていると思います。2006年23.2ヶ月、2007年が26.8ヶ月、2008年が28.4ヶ月とどんどん伸びており、ご指摘のようにマーケティング面における短期的な結果を求める弊害に企業がすでに気がついて、是正しています。私が書いた「前任者と同じことをする」という意味は、企業の長期的なマーケティングのゴール(ある時は企業目標でもあります)を達成するために、前任のCMOと同様な戦略展開をしようとすることへの批判が常にあるという意味です。つまり「革新性」への欲求が企業内で非常に強いので、CMOはそれを理解した上で、ある時は前任者と同じ事をする「勇気」も持たなければなりません。米国は消費者のコミュニケーション活動の変化(進化)がはやく、それに対応するためにマーケティング業界全体も非常に流動的です。企業側、広告会社ともども、その流れのモメンタムに乗るために、常に努力(トライアンドエラー)が強いられていると、思います。大柴ひさみ

大柴さん

お忙しいなかコメントいただき、ありがとうございます。
とても勉強になりました。

常々米国流が必ずしも絶対ではないとは考えている私ですが、こうした現地の生の情報を聞くたび、やはりマーケティング環境においては、米国は日本に比べて一歩も二歩も進んでいるなぁ、とつくづく実感させられます。

とくに個人的には瑣末なことで恐縮ですが、お話を聞いていて「トライアンドエラー」という言葉が許容されるという点がやはり米国のスゴイ点だな、と思います(変なところに食いついてすいません)。

これは明らかに日本と米国の文化の違いなのでしょうが、日本では「エラー」はたとえ1回でも許されないので、クライアントの前では「トライアンドエラー」などという言葉は決して許されません(だから「PDCA」という曖昧な言葉に置き換えて説明したり)。

でも、実際のところは「失敗は成功の母」という言葉があるように、エラーをしてその原因分析をしてみなければ何が正しいことなのかはなかなか見えてきませんよね。

ところが、日本では最初から最適解を出さなければ許されないし、エラーをしたらセカンドチャンスはやってこない。それが多くの企業でトライを躊躇させる足かせになっているのかもしれませんね。

…なんて、わかった風なことを言っていますが、見当はずれでしたらご指摘ください。

私が住むサンフランシスコ・シリコンバレーでは、VC(ベンチャーキャピタリスト)は失敗しないアントレプレナーには投資しないという、暗黙の了解があります。VCにしてみれば、「一度も失敗をしたことがない人間は、VCが期待するような大きな成功を獲得できない」という考えが浸透しています。大きな成功のためのトライアンドエラーは、必須条件で、自分も然りですが、いかに多くの失敗が自分自身を鍛えてきたかを実感します。移民した当初、母親が小さな子供に向かって「あなたはリスクテイキングをしなかったから、成功できなかった」と怒っている姿をショッピングモールで目撃して、愕然とした経験があります。米国の面白さは、その辺にあるような気がします。大柴ひさみ

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