時計メーカーの広告紹介が続きますが、今日は初めて目にしたSEIKOのテレビCM「一秒の言葉」にかなりジーンときました。
どうやら1985年に制作されたCMのリメイクのようですが、いまの時代だからこそ、こういう情緒的な訴えかけをするCMって効果的なんでしょうね。
いまちょうど来年4月に休刊する『広告批評』の主宰者・天野祐吉さんの対談集『広告も変わったねぇ』を読んでいるんですが、そのなかの中島信也さん(東北新社/CMディレクター)との対談内容を象徴するようなCMでした。
以下、かなり長くなりますが、『広告も変わったねぇ』の天野さんと中島さんの対談から気になった部分の引用です。
暴力的な押し付けを、見ている人が、不快にならずに受け取れるかどうか。その転換ができるかどうかが、クリエイティブの力なんだよね。(天野さん)
芸を見せるということですよね。バナナのたたき売りにしても、ただバナナを売るのではなくて、エンターテインメントとして芸を見せて、お約束事として「見せてもらったから、じゃあ、ひとつ買おうじゃないか」というものだったと思うんです。(中島さん)
「おもしろい」というのは、笑えるってことじゃない。見てトクしたってことですよ。見てトクしたと思ってもらえるようなものでないと、テレビCMのもつ暴力性は隠せない。そこのところで、まさしく中島さんがおっしゃったような、クリエイターの「芸」が必要になってくるんです。人びとに届かせようと思ったら、どんな分野でも芸が必要ですよ。(天野さん)
「中島さん、いいCMつくってバンバン売ってくださいね!」っていわれると、ちょっと待って、と思う。売れるかどうかは、流通の上でのいろいろな準備や段取りをして、現場の人やお店の人の力とか、いろんな力が働いた結果があるわけで……。CMにできるとしたら、お茶の間でテレビを見ている人に、ちょっと気に入ってもらったり、ちょっと興味をもってもらったりすることくらいなんです。(中島さん)
広告主さんからは、商品名とか商品をバーンと出すことを望まれることが多いのですが、でも、ちょっと好きになってもらうことをめざすなら、あえて情報を抑えたほうがいい。まずは、架け橋をつくる。その橋の強度がブランド力といいますか、相互の信頼関係というものだとしたら、最初は頼りない、1本のロープかもしれない。商品名や企業の名前を覚えてもらっても、やっと吊り橋レベル。けれどアップルやナイキなんかは、そういう架け橋づくりのたゆまぬ努力をずっとつづけてきて、頑丈な鉄橋にしたんだと思うんです。(中島さん)
ぼくは広告には、大きく分けて3つの情報があると思ってる。商品についての情報を伝える「インフォメーション」、使った人がああだったこうだったと感想をいう「レポート」、企業が自社の考え方を生活者に伝える「オピニオン」。広告は、この3つがぐちゃぐちゃっと混ざりあってできていると思うんですよ。でもね、これからのマス広告は、「オピニオン」に集約されていくんじゃないかと思うんです。いまの広告を見ても、「インフォメーション」と「レポート」の部分はもうないですよ。中島さんがおつくりになっている「伊右衛門」のCMも、商品についての細かい説明はないでしょう?…(中略)…じゃあ、なにがいいたいのかっていうと、サントリーという企業の考え方というか、お茶という文化に対しての見方というか、そういうものを表現しているんじゃないかと思うんですよね。(天野さん)
「伊右衛門」の場合は、商品の具体的な説明については別のメディアで補っていこうという考えを、サントリーさんがしっかりとおもちですね。「インフォメーション」を詳細に盛り込めるウェブサイトという媒体もありますから。逆にいうと、テレビのように瞬間的に消え去ってしまう、はかないといえばはかないメディアに課せられるものを、ものすごく見きわめておられる企業なんです。「伊右衛門」全体の世界観としても、じつはこまごまとしたスペックがあるんですけれど、あえてそこには一切触れないで、心のなかにできるものをすごく大事に表現する。(中島さん)
それがサントリーの「オピニオン」なんだろうなと、見ていて感じますよ。オピニオンというと、「わが社は……」ではじまるお堅いもののようなイメージがあるけれど、「あいさつ」という面もあるんです。たとえばきょう、最初に中島さんにお会いしたときに、ぼくは「こんにちは」といいましたね。これは決して特別なあいさつじゃない。でもね、その「こんにちは」という、たったひとことのあいさつの響きのなかには、中島さんに対するぼくの感情や、きょうのぼくの体調、世の中に対するぼくのものの感じ方とかね、全部入っているんですよ。「広告はあいさつだ」というと儀礼的に聞こえるようで、「広告はそんなに簡単なものじゃない」なんていわれたりするんだけど、ぼくからすれば、あいさつこそそんなに単純なものじゃない。「伊右衛門」のCMからはサントリーのあいさつが聞こえてくるんです。ブランド広告と呼ばれるものはみんなそうなのかもしれないけれど、これからのテレビCMは、よりその傾向が強くなると思うんですね。インフォメーションとしての役割は、ウェブのほうがすぐれていると思うなぁ。(天野さん)
いわゆるウェブサイトというものができて、企業はものすごい量の情報を生活者に届けることができるようになりました。これをテレビCMの衰退のようにいう人もいるけれど、ぼくはある種の追い風だととらえているんです。詳しい説明、インフォメーションはウェブにまかせて、もう少し感覚的な気分や、言葉にしにくいことをテレビでやりましょう、と提案することができますから。(中島さん)
さすが百戦錬磨の広告業界の先輩たち。一言ひとことに重みがあって勉強になります。
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広告も変わったねぇ。「ぼくと広告批評」と「広告の転形期」についてお話しします。 天野 祐吉 インプレスジャパン 2008-11-28 |
- SEIKOの目覚まし時計なら一発で目が覚めます。例えば、こんな感じで。。。
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市川伸一(

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