私は個人的に、新しいマーケティング手法にチャレンジする勇気を持っていて、その成功例を出し惜しみせずに他の会社にもシェアする企業って大好きです。とくに、それが守りの姿勢に陥ってもおかしくない大企業であればなおさらのこと。
でも残念なことに、そういう企業ってナイキやユニリーバ、コカ・コーラなどに代表されるように外資系企業の割合がやたら高いんですよね。
どうしても日本の企業は、新しいことを提案しても、担当者が必ずと言っていいほど「それって成功例はあるんですか?」と聞いてきて、結局尻込みするケースがほとんど(もちろん気持ちはわかります。上司を説得しづらいとか、こちらの説得が下手というのもあるのでしょうが)。それに、仮に成功したとしても、「競合にマネされたら嫌だし、ウチの会社だけの秘密にしたいんですよね」ということで、成功例を発表したがらない。
そんななか、珍しく日本の企業でこのチャレンジ精神とオープン・マインドを持っていると感じるのが、日産やユニクロ、日清食品といった企業です。
なかでも、最近テレビCMを見て、とくにチャレンジしているなぁと感じたのが、ユニクロに関して。
「日経トレンディネット」の記事でも取り上げられていましたが、ここ最近の女性用ジーンズの主流は股上が浅いローライズ・ジーンズでしたが、ユニクロが藤原紀香を起用したCMでプッシュしたのは股上が深いハイライズ・ジーンズ。
もちろん、海外セレブがはき始めたことで、ブームの風向きが変わりつつあるという背景もあるのでしょうが、それでもまだローライズ・ジーンズをプッシュしておけば安全なのに、あえてハイライズ・ジーンズをプッシュする勇気には感服します(安全策を取るなら、ローもハイもスキニーも全部揃っていますっていうCMにすればいいのに、そうしていませんね)。
このユニクロのCMを見て、10年以上前にダウンタウンの松本人志が書いてベストセラーになった『松本』という本の一節を思い出しました。
そのときいちばん光ってるもんを追いかけようとするでしょ。それが絶対違うんですよ。みんなが北なら北へ行くでしょ。それで北に一番になろうとする。それ、違うんですよ。
僕なんか、この世界入ったとき、世間がみんな北へ行ってるとき、あえて違う方向に走ろうと思った。「漫才ブーム」から「オレたちひょうきん族」の方向を否定した。それはすごい怖いことやし、大変なことやけど、そのかわりこっちに目を向けさすことができたら、ダントツですよね。
つまり何が言いたいかと言うと、ユニクロのようにみんなが同じ方向に走っているとき、あえて違う方向に走る勇気って時には必要かな、と。
確かにそれって本当の実力(ムーブメントを起こせるだけの強い影響力)がなかったり、読みが外れたりすると大損してしまう可能性もありますが、結局はそうして高いリスクを取らなければ高いリターンというのは返ってきません。
さきほどの成功例の話とも共通するのですが、いつも成功例を決まった企業だけがさらって行くっていうのは面白くないじゃないですか。たまには、他の企業にも勇気を振り絞ってチャレンジして、成功したら堂々とシェアする姿勢を持ってほしいな、と思います。
補足1:
もちろん、ここでは無駄に危険を冒せと言っているのではありません。
ユニクロの場合も、勝算があったからこそやっているのでしょうし、コロコロと流れが変化するファッション業界ならではの戦略とも言えます(ローライズ・ブームが何年も続くと、買い替え需要が起きないという大人の事情もあるでしょうし)。
でも、マーケティング・セミナーの成功事例で登壇する企業の顔ぶれがいつも似たり寄ったりという状況は、明らかにおかしいと思いませんか?
チャレンジ精神とオープン・マインド、この2つは今後多くの企業(とくに石橋を叩き過ぎて壊してしまうような大企業)に考えてもらいたいテーマだと常々考えています。
補足2:
そうは言っても、CMに藤原紀香を起用するってどうなんだろ?
CMを見ている人は、「あれって藤原紀香のスタイルだから似合うんであって、私なんかとてもはけないわ」とか思ったりしないのかな。
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「松本」の「遺書」 (朝日文庫) 松本 人志 朝日新聞社 1997-07 |
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