電通が発表した「2007年(平成19年)日本の広告費」にあえて苦言

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昨日電通が発表した「2007年(平成19年)日本の広告費(PDF)」をじっくり読んでみました。

実は私もこうした数値分析系のリリース文って、前職で書いた経験があるんですが、これって思い込みで書いてしまうと広告会社としての分析能力に疑問符が付けられかねないので、書く人にとっては精神的に結構追い詰められるタフな仕事なんですよね。それこそ、細心の注意を払って間違いがないように書かないといけないという社内外からのプレッシャーがすごい。

だから、あまりこうしたリリース文について、その揚げ足を取ってどうこう言うべきではないと思うんですが、今回はどうしても見過ごせない部分があったので、あえてツッコミを入れさせていただきたいと思います。

その部分とは、インターネット広告費の分析コメントのなかでも、特にSEM(サーチエンジンマーケティング)について書かれた以下の部分。

SEM(サーチエンジンマーケティング)市場は1,282億円(前年比137.8%)と、他のネット媒体にくらべて拡大傾向にある。費用対効果を重視する広告主が出稿を増加させていることに加え、テレビCMなどで告知することによって、検索への誘導をうながすクロスメディア手法も定着したことなどが背景にある。

まず問題点のひとつは、「費用対効果を重視する広告主が出稿を増加させている」という一文。

“費用対効果を重視する広告主”という表現はいったい何なんでしょう? さも、費用対効果を重視する広告主は安直にSEMに流れやすいみたいな書き方になっていますが、広告主というものは総じて費用対効果を重視しているはずで、そうでない広告主なんて存在しないはず。

広告そのもの、そして広告会社の存在意義を自らが大きく軽んじているか、広告主を舐めているとしか思えないコメントです。言葉の綾だと言えば、それまでと言えなくもないですが、広告会社にとって少なくとも言葉は重要な商売道具のはず。業界のリーディング・カンパニーが発する言葉としてはあまりに無責任過ぎるのではないかと思います。

それに、ここでいう効果とはいったい何でしょう? おそらく商品やサービスの購入という狭義のROI(Return On Investment/投資利益率)だけを効果と言っていると判断できるのですが、広告の効果って果たしてそれだけなのでしょうか? すでにSEM業界でも、狭義のROIに縛られた発言をすることが業界の発展を阻害することに気付いている人はたくさんいます。

ミスリードを誘いたいのか、それとも本心からそう思っているのか疑問ですが、このリリースを読んで「フムフム」と思ってしまった方、まずは納得する前に「mediologic.com」さんの以下の記事をお読みになることをおすすめします。

・”Search Branding” について真剣に考えるときだ。: mediologic.com/weblog
http://www.mediologic.com/weblog/archives/001482.html

それから、もう1つおかしいのは、「テレビCMなどで告知することによって、検索への誘導をうながすクロスメディア手法も定着したこと」が市場拡大の背景にあると書いていますが、これも明らかな間違いでしょう。

昨年のリリースが出た時に、すでに「水道橋SmallCafe」さんがその間違いを指摘しています。こちらをご覧になって、そのままこのコメントを鵜呑みにしない方がいいです。

・電通の「2006年 日本の広告費」 水道橋 SmallCafe
http://suidobashi.blogspot.com/2007/02/2006.html

多少手厳しいかもしれませんが、良かれ悪しかれ現在の日本の広告業界を牽引している電通さんなので、その発言の影響力は想像以上に大きいはずです。

それに、私ごときがブログで何と言ったところで、痛くも痒くもないはず。そのため、あえてエラソーに厳しいことを言わせていただきました。

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